不動産投資における損益通算の特徴や計算方法は?注意点も紹介!
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不動産投資によって得た利益を少しでも手元に残すために、節税を検討している方は多いのではないでしょうか。節税対策として大きな効果を期待できるのが「損益通算」という制度です。損益通算を活用すればどの程度税金を安くできるのか、知っていると知っていないとでは大違いでしょう。
そこで今回は、不動産投資における損益通算について、計算方法や条件などを解説します。損益通算を利用するにあたっての注意点もまとめました。副業や投資をする上で役立つ知識のため、ぜひ参考にしてください。
1.不動産投資における損益通算とは

マンションやアパートを賃貸として貸し出し収入を得た場合、所得に応じて税金を納めなければなりません。損益通算は、その税額を計算する際に使われている仕組みです。ここでは、不動産投資における損益通算の特徴や意味、目的などを解説します。
🔵 損益通算の特徴や意味
損益通算とは、損失と利益を相殺することをいいます。不動産投資において赤字が発生した場合、他の所得からその赤字分を差し引いて課税対象額が決定する仕組みです。不動産所得以外に、「事業所得」「山林所得」「譲渡所得(一部)」でも損益通算を利用できます。
給与所得は通常、源泉徴収という形で仮計算した税金が差し引かれています。損益通算によって課税所得の総額が減れば、払いすぎた源泉徴収税が戻ってくるかもしれません。
🔵 損益通算をする目的
不動産所得で損益通算する目的は、節税効果を得ることにあります。家賃収入よりも経費が高いと赤字となり、損益通算が可能です。経費には修繕費や固定資産税、管理費、ローンの返済以外に「減価償却費」というものが含まれます。
減価償却費とは、固定資産の取得費を取得年度に全額計上するのではなく、使用可能な期間にわたって分割計上できる勘定科目のことです。取得初年度以降は実際の出費を伴わずとも経費にできるため、会計上の赤字を作りやすくなります。
2.不動産投資で損益通算をする際の計算方法

不動産投資をする上で損益通算の計算方法を知っておくと、節税対策を取りやすくなります。特に難しい数式等は必要としないため、自分でも計算できるようになっておくとよいでしょう。
🔵 損益通算の計算方法
不動産投資における損益通算の計算方法は、以下の3ステップです。
〈損益通算の計算方法〉
1.本業の所得を計算する
2.不動産所得を計算する
3.本業の所得と不動産所得を足し合わせて課税対象額を算出する
本業の所得は給与所得以外に、「利子所得」や「配当所得」「雑所得」も対象です。また不動産所得は、不動産収入から経費を差し引いて計算します。不動産収入と経費の例は、以下の通りです。
不動産収入 | 経費 |
・家賃収入 ・更新料 ・共益費 ・礼金 ・返金のない敷金 など |
・修繕費 ・固定資産税 ・不動産のローン返済 ・保険料 ・減価償却費 など |
収入よりも経費が上回った場合、損益通算ができます。
🔵 損益通算の計算例
損益通算を使うことでどの程度の節税を期待できるのか、目安が分かるように具体例で紹介します。
〈損益通算の計算例〉
年間給与所得 | 1000万円 |
年間不動産所得 | ▲150万円(赤字) |
所得税額は、以下のデータを用いて計算します。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
695万円 から 899万9000円まで | 23% | 63万6000円 |
900万円 から 1799万9000円まで | 33% | 153万6000円 |
給与所得1000万円にかかる所得税は、「1000万円×33%-153万6000円=176万4000円」です。しかし、不動産所得と損益通算すれば、課税される所得金額は「1000万円-150万円=850万円」となります。850万円の所得税を上記の表に当てはめて計算すると、「850万円×23%-63万6000円=131万9000円」になります。
結果、所得税は40万円以上減額できました。損益通算を活用すれば、大きな節税効果を期待できると言っても過言ではないでしょう。
3.不動産投資の損益通算における注意点

不動産投資における損益通算は大きなメリットを期待できますが、注意しなければならない点もあります。経費によっては損益通算ができない点や、確定申告時に特別控除を適用できない点はその代表でしょう。ここでは、損益通算を利用する前に知っておきたい注意点を紹介します。
🔵 確定申告時に特別控除の適用はできない
損益通算をする場合は、青色申告特別控除をはじめとする特別控除が適用されません。各種の所得控除は、損益通算前の金額が黒字でないと利用できないためです。
例えば不動産所得が30万円の場合、青色申告特別控除65万円のうち30万円までは適用されますが、20万円の赤字であれば控除はありません。
青色申告の各種所得控除も相応の節税効果を期待できるため、所得金額に応じて最適な選択をする必要があるでしょう。
🔵 土地取得にかかるローンの利子は損益通算できない
物件購入の際にローンを利用している場合、経費として計上できるのは「建物・設備取得にかかる利子」のみです。元本や土地取得にかかる利子は損益通算の対象として認められていません。
きりの良い数字を使ってイメージしてみましょう。仮に不動産所得が1000万円の赤字で、そのうち土地にかかる利子が200万円だったとします。この場合、損益通算の計算に含めてよいのは800万円です。給与所得など本業の所得が2000万円とすると、課税所得は1200万円と計算します。
🔵 リゾート物件は損益通算できない
別荘のようなリゾート物件で不動産投資をする場合、赤字になっても損益通算できません。「生活に必要でない資産に係る所得」は、損益通算の対象外であるとされているためです。
生活に必要ない不動産とは、「趣味、娯楽、保養または鑑賞の目的で所有する不動産」だと、国税庁は定義しています。損益通算の対象であるかどうか、物件を購入する前に十分確認しましょう。
参考:国税庁「損益通算」
🔵 国外中古物件は損益通算できない
かつては国外中古物件も減価償却によって節税する方法が利用されていましたが、令和3年の法改正により、国外不動産所得に赤字は損益通算の対象外となりました。国外の物件価格は高額な傾向にあり、減価償却すると節税効果が大きくなり過ぎてしまうためだと考えられます。
このような制度が決まった以上、節税目的で不動産投資を検討している場合は、国内物件を探したほうがよいでしょう。
4.不動産所得以外に損益通算が可能な所得

不動産所得以外にも、損益通算が可能な所得は3つあります。「譲渡所得」「事業所得」「山林所得」です。これらで赤字が出てしまった場合にも、給与所得などと相殺して課税所得を減らせるということです。それぞれの所得について詳しく解説します。
🔵 資産の譲渡による「譲渡所得」
譲渡所得とは、資産を譲渡した際に生じる所得のことです。譲渡所得の対象となる資産には、土地や建物だけでなく株式や宝石、ゴルフ会員権なども含まれます。課税対象の所得額は、以下のように計算します。
〈譲渡所得の計算方法〉
・譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)=譲渡所得
・譲渡所得-特別控除額(※資産によって異なる)
譲渡により損失が出た場合は他の譲渡所得と損益通算可能ですが、事業所得や不動産所得とは相殺できません。また、宝石や別荘など生活に通常必要ないとされる資産や、株式等の譲渡損失も対象外です。
🔵 事業の運営による「事業所得」
事業所得とは、農業や漁業、サービス業などの事業によって生じる所得のことをいいます。総収入金額から、必要経費や特別控除額を差し引いた金額が課税対象です。また事業所得においても、建物や部品などを減価償却として計上できます。
事業所得が赤字となった場合、給与所得や利子所得、配当所得、雑所得と損益通算可能ですが、譲渡所得とは相殺できません。またサラリーマンが節税対策として事業所得の赤字を作ろうとする場合、事業所得ではなく雑所得とみなされて損益通算できない場合もあるため注意が必要です。
🔵 山林の伐採や譲渡による「山林所得」
山林所得とは、所有期間5年を超える山林を売却する際に生じる所得のことをいいます。所得の計算式は、以下の通りです。
山林所得=総収入金額-必要経費-特別控除等
山林所得が赤字となった場合にも損益通算は可能ですが、相殺する所得の優先順位が決まっています。まずは給与所得や不動産所得、事業所得などから差し引き、それでも赤字が残る場合には譲渡所得、一時所得、退職所得の順番で引かれる流れです。
ただし山林を譲渡する際の土地部分は譲渡所得の対象となるため、赤字が出た場合は譲渡所得と同様の条件で損益通算します。
5. GALA NAVIなら不動産投資のルールを学べる!
損益通算の計算方法や条件は複雑で、不動産投資の初心者にとっては難しく感じるでしょう。しかし税金について理解を深めるほど運用が上手になり、不動産投資に成功しやすくなるといえます。
FJネクストグループが運営するGALA NAVIは、不動産投資に関する知識やノウハウを得られるサイトです。不動産投資以外にも、ライフプランや資産運用、マネーに関する身近なテーマや豆知識を発信しています。
投資に関する不安や疑問がある方、不動産投資について理解を深めたいという方は、ぜひGALA NAVIの利用をご検討ください。登録費や会員費は一切かかりません。
6.GALA NAVIで不動産投資について学ぼう

不動産投資では、不動産所得が赤字となった場合に給与所得などと相殺して税金を減らせる損益通算が可能です。不動産投資目的で購入した物件は数年にわたって減価償却ができるため、損益通算による節税効果はとても大きくなるでしょう
ただし損益通算の対象は限られており、十分理解を深めておかなければ思わぬ失敗につながる恐れがあります。GALA NAVIでは、損益通算など不動産投資に関わるさまざまなコンテンツを発信しているため、ぜひ活用してみてください。
株式会社FJネクストが運営しております。
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