不動産投資でもローンは繰り上げ返済したほうがいい?繰り上げ返済のメリット・デメリット
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不動産投資では一般的に、銀行から融資を受けて物件を購入し、月々の家賃収入からローンを返済します。そのため、もし手元に余剰資金があれば、ローンの早期完済を目指して繰り上げ返済を検討したくなるかもしれません。ただし、不動産投資の場合、繰り上げ返済は必ずしも投資戦略にプラスになるともいえないようです。今回は、不動産投資における繰り上げ返済のポイントを見ていきましょう。
不動産投資の繰り上げ返済は2種類ある
繰り上げ返済には、「返済期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類があります。
「返済期間短縮型」とは、月々の返済額をそのまま据え置き、返済期間を短縮することです。返済期間を短縮すれば、支払うはずだった利息を軽減できます。一方、「返済額軽減型」では、返済期間は変更せずに月々の返済額を減らします。返済期間は変わらないために利息の軽減効果は小さいですが、手元にキャッシュを残すことで金利上昇による利息の増加や急な修繕などの出費に備えることができます。
例えば、35年ローンで3,000万円を借り入れ、返済開始から1年後に200万円を繰り上げ返済するとします。年金利は2.5%、元利均等返済です。
- 当初借り入れ元金 :30,000,000円
- 当初借入期間 :35年
- 返済済み期間 :1年
- 返済方法 :元利均等返済
- 借入金利 :5%
- 繰り上げ金額 :2,000,000円
それぞれ、どのように変化するのか見てみましょう。
期間短縮型の場合
- 毎月返済額 :107,248円
- 残り返済期間 :30年7ヶ月
- 減少する利息額 :2,470,599円
返済額軽減型の場合
- 毎月返済額 :99,955円
- 残り返済期間 :34年0ヶ月
- 減少する利息額 :968,323円
あくまでも一例ですが、減少する利息額に差があるのがわかります。
繰り上げ返済のメリット
こちらでは、不動産投資の繰り上げ返済によるメリットをご紹介します。
返済総額を減らすことができる
ローンを組む際には〇回払い、手数料〇%といった条件の下で、金融機関から貸し出されます。
繰り上げ返済の場合は通常の返済分とは別に返済が行われ、その際は元本の返済に充当されます。
本来であれば手数料が発生する返済額に対して手数料が発生しないため、返済総額を減らせるのです。
このことから、臨時収入やボーナスが入ったときは積極的に繰り上げ返済を行うことをおすすめします。
精神的な負担を減らすことができる
ローンに限らず、金融機関などからお金を借りていると、毎月「返さなければならない」と考えてしまうものです。
毎月支払うことは約束されていますが、「返済」という言葉に強いストレスや負担を感じる方はいらっしゃることでしょう。
繰り上げ返済をすることで、先述の通り返済総額を減らすことができるため、精神的な負担も減らすことができます。
「毎月〇〇円返さなければ」から「あと〇年で完済できる」と考え方が変われば、精神的に楽になるのではないでしょうか。
自己資金の調整ができる
繰り上げ返済のメリットとして、手元の資本に余裕がある場合に返済に充当できることが挙げられます。
多くの頭金を用意するためにさまざまな商品を売却し、多額のローンを抱えることは本末転倒です。
繰り上げ返済の場合、頭金よりもリスクマネジメントを行いやすいため、自身でリスクに備えることができます。
無理して頭金を用意しなくても、繰り上げ返済という方法を知っておくことで返済計画の幅が広がることでしょう。
繰り上げ返済のデメリット
一方、繰り上げ返済には下記のようなデメリットが存在します。
手元の資金が減少する
繰り上げ返済は長期的な返済による負担を軽減できますが、突発的な出費に対応できなくなることがあります。
大規模修繕や空室リスクといった、不動産投資・経営につきもののリスクに対応できない点には注意が必要です。
また、築年数が古くなった物件については大規模修繕が求められることがあるため、思っている以上に出費の可能性はあるものです。
そのため、繰り上げ返済を行う際はこれらのリスクを考慮したうえで返済額を決めましょう。
低金利の場合は恩恵が少ない
金利が高額な場合は繰り上げ返済の恩恵を受けることができますが、低金利の場合恩恵は少ないものです。
近年の不動産投資ローンは依然として低金利を推移していることから、物件や案件によっては恩恵が少ないことがあります。
本来、繰り上げ返済は長期的な支払額を低減するために行われる施策であることから、無理に行うべきものではありません。
そのため、繰り上げ返済を行う前に実施することで得られる恩恵(利益)を考えてみましょう。
手数料が発生することがある
融資期間や借り入れ条件によっては、繰り上げ返済の際に手数料が発生するローンプランが存在します。
少しでも将来的な負担を減らすために行う繰り上げ返済によって、かえって余計な費用が発生してしまった、ということがあります。
そのため、繰り上げ返済を行う前に金融機関との契約内容を確認しておくようにしましょう。
契約内容をよく見てみると、「今は繰り上げ返済を行うべきではない」といったタイミングを見極められるようになります。
繰り上げ返済の可否を見極める4つのポイント
超低金利時代のいま、あえて繰り上げ返済すべきなのかという指摘もありますが、戦略上、繰り上げ返済したほうが効果的になることもあります。ここでは、繰り上げ返済すべきかどうかを見極める4つのポイントを紹介します。
高金利の物件から繰り上げ返済する
複数の不動産物件を所有している場合、少しでも無駄な金利の支払いを抑制するために、高金利の物件から繰り上げ返済をしていくようにします。
利回りの低い物件は繰り上げ返済しない
利回りの低い物件は繰り上げ返済に向いていません。融資という他人資本で投資資金を作り、物件の利回りと借入金利との差額で利益を出す不動産投資において、借入金利よりも利回りが低ければ繰り上げ返済するメリットはありません。
修繕費などの出費に備える
突発的な修繕や金利の変動リスクなどに備え、手元にはある程度の現金を置いておく必要があります。不動産経営を拡大したい場合、繰り上げ返済に回すよりも高利回りの物件の頭金とするほうが有利となることもあります。
所得税や住民税の負担分とのバランスをチェックする
上述したように、利息の軽減効果の一方で確定申告時の経費計上額が減り、課税額が増えることもあります。繰り上げ返済時には、所得税や住民税の負担額とのバランスもチェックしましょう。
繰り上げ返済のシミュレーション
ここで、先述したシミュレーションを見返してみましょう。
- 当初借り入れ元金 :30,000,000円
- 当初借入期間 :35年
- 返済済み期間 :1年
- 返済方法 :元利均等返済
- 借入金利 :5%
- 繰り上げ金額 :2,000,000円
繰り上げ無し | 期間短縮型 | 返済額軽減型 | |
毎月返済型 | 107,248円 | 107,248円 | 99,955円 |
残り返済期間 | 34年0ヶ月 | 30年7ヶ月 | 34年0ヶ月 |
減少する利息額 | 0円 | 2,470,599円 | 968,323円 |
このように、繰り上げ返済を行うことで期間短縮型なら返済期間、返済額軽減型なら返済額を減らすことができます。
今回のシミュレーションは繰り上げ金額が200万円の場合ですが、それ以上返済をすれば期間・返済額を減らせます。
なお、返済方法のなかにはシミュレーションで使用した「元利均等返済」のほかに、「元金均等返済」があります。
下記にて、それぞれの違いをご説明します。
元利均等返済
元利均等返済とは、返済期間中に利息と元金の割合を変えることで、毎月の返済額を一定にする返済方法になります。
毎月の返済期限が一定になることから将来設計がしやすい点が特徴であり、こちらの返済方法を取り扱う金融機関が多いです。
元金均等返済
元金均等返済とは、返済期間中に元金を均等に割り、その元金に対してかかる利息をあわせて支払う方法になります。
元金の総額によって決定するため、徐々に毎月の支払金額が減少する点が特徴です。
先述した元利均等返済と比べると金融機関の利益が少ないため、元金均等返済を選べない金融機関がある点には注意しましょう。
繰り上げ返済は、キャッシュフローや投資戦略とのバランスで判断する
ここまで、不動産投資における繰り上げ返済のメリットとデメリット、チェックポイントをご紹介しました。賛否両論ある繰り上げ返済ですが、キャッシュフローや投資戦略とのバランスで判断することが大切です。
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