投資信託の運用実績はどうやって確かめる? 運用実績を確認する方法と確認する際の注意点
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投資信託は少額から購入が可能なため、初心者向けの資産運用とされています。しかし、商品数が多く、種類もさまざまであるため、商品選びで迷う方も多いようです。特に、商品選びの際に必ず出てくる「運用実績」を読み解くのは容易ではありません。ここでは、運用実績を調べる方法と確認する際の注意点を紹介します。
1.投資信託の運用実績は、インターネットや新聞から調べられる
投資信託の運用実績を調べるには、インターネットや新聞などを活用するのが手軽です。ただし、新聞で分かるのは基準価格のみです。また、新聞でずらりと並んだ銘柄を調べていくのは、慣れるまで大変かもしれません。
一方、インターネットは運用実績に関する情報が豊富で、ニーズに合った商品検索もできます。商品検索は、販売会社や運用会社のサイトで行うのが一般的ですが、すでに口座がある証券会社や銀行などで購入したい場合は、その証券会社や銀行のサイトで投資信託を検索するといいでしょう。ただし、確認できるのは原則として該当企業が扱っている商品のみです。
購入窓口にこだわらずに多くの投資信託を確認したい場合は、投資信託協会の「投信総合検索ライブラリー」の利用をおすすめします。
情報を探すサイトによって違いはありますが、通常は株式、債券、バランス型などの「投資対象資産」、国内、欧米、アジア、グローバルといった「投資対象地域」、もしくは分配金の頻度などで検索が可能です。細かく条件を設定することで、ニーズに合った商品の検索・閲覧ができます。
2.投資信託の運用実績を読み解く
インターネットでニーズに合致した投資信託の商品が絞ることができたら、その運用実績を読み解いていきます。運用実績には項目がいくつかあり、各項目の内容を理解することで、より活用することができます。
🔵運用実績を読み解くための3項目
運用実績を読み解くのに必要となる指標は、「基準価額と標準偏差」「トータルリターン」「シャープレシオ」の3つの項目です。
➢1:基準価額と標準偏差
・基準価額
投資信託1口あたりの値段のことです。「口」とは投資信託を取引する際の単位のことです。基準価額は、当初「1万口1万円」で設定されていることが多いですが、その後の運用成果によって1口あたりの値段は変動します。なお、基準価額は高ければ良いというわけではありません。分配金を拠出するとその分下がりますし、基準価額が高くなると投資家が購入しにくくなることから分割され、価額が下がることがあります。
・標準偏差
投資信託におけるリスクを数値化したものです。基準価額がどのくらい上下にぶれるのかを計ることができます。数値が高いほど、投資信託のリターンのぶれは大きくなります。なお、ここでの「ぶれ」にはプラス、マイナス双方を含みます。価額の乱高下を避けたいならば数値の小さいものを選びますが、成長性が見込めるならばリスクがあってもよい、と考えるならば、数値が大きくても問題ないでしょう。
➢2:トータルリターン
分配金や値上がり益、ファンド運営にかかった費用などを含めた投資信託の「総合的な収益」のことです。保有商品について個別に算出されるトータルリターンもありますが、ここでは投資信託の運用成績を表す数値を指しており、基準価額を基に算出します。一般的に、分配金は再投資されたものと仮定し、一定期間の分配金込みの基準価額の騰落率を年率で表します。
数値が高いほうがリターンは大きいといえますが、トータルリターンの期間は、半年、1年、3年など一律ではありません。ある期間においては高い数値である投資信託が、違う期間においては数値が低いこともあるので注意が必要です。
➢3:シャープレシオ
投資信託におけるリスクとリターンの効率性を表したもので、標準偏差を基に算出する指標です。数値が高いほど、リスクを取ったことによって得たリターンが高いことを意味します。つまり、数値が高いと「効率よく収益が得られた」と判断できます。リスクに見合ったリターンを得ている投資信託を選択したい、という場合に有効な数値です。
🔵目論見書と運用報告書も活用しよう
目論見書と運用報告書は、どちらも証券会社や前述した投信総合検索ライブラリーなどで確認できます。それぞれの特徴は次のとおりです。
➢目論見書
投資信託の長期戦略、方向性などの特色が記載されている書類です。発行価格や利率、満期日など発行する有価証券に関する情報だけでなく、発行者に関する情報、引受に関する情報など、幅広い情報がコンパクトにまとまっています。投資信託の商品性を理解するのに役立ちます。
➢運用報告書
運用実績をまとめた報告書で、原則として決算期末に作成されます。投資家の資金をどのように投資し、今はどのような状況になっているのかなどの情報を得ることができます。本来的には投資信託の保有者に向けた情報ですが、未保有でも閲覧が可能です。
なお、運用報告書を見るときは運用結果のみならず、今後の運用方針や運用コストも確認するようにします。仮に今期の決算結果が悪くても、将来性があるようならば保有する価値があると判断できるからです。
気になる投資信託はすべて目を通すのが理想ですが、難しいときもあるでしょう。2、3本の最終候補だけでも読んでおきましょう。
3.投資信託の運用実績を確認するときの注意点とポイント
「数値項目を比較する」「運用方針や手数料を確認する」などを心掛けることで、リスクの大きさや期待するリターンなどにおいてニーズに合った投資信託が選びやすくなります。しかし、注意点もあります。
運用実績を確認するときの2つの注意点
➢数値指標は過去の実績を基にした判断基準である
標準偏差やトータルリターンといった数値指標は、過去の実績を基に算出されており、将来を約束するものではありません。
➢投資信託の評価会社が発表するレーティング(評価)やランキングは参考程度に考える
投資信託にはさまざまなレーティングがありますが、評価会社によって分類や評価基準が異なります。また、ランキングもトータルリターンやシャープレシオなど特定の指標による順位、買付金額や販売件数など客観的な数字で人気度を順位化したものなどさまざまです。
運用実績を活用するポイントは、アクティブ型とインデックス型とで見方を変えること
運用実績を確認する際は、「アクティブ型」と「インデックス型」で見方を変えるのがポイントです。
➢アクティブ型投資信託
運用会社が独自の基準、目的で銘柄選択や投資判断などを行い、TOPIXなどの指数を大きく上回る投資成果を目標とする投資信託のことです。一般に、後述するインデックス型と比較して戦略立案や銘柄選択にかかるコストが高いとされています。それらファンド運営コストは最終的には投資家に転嫁されるため、発生する運営コストも考慮してリターンを算出するトータルリターンをより重視するといいでしょう。また、リスクが高い地域や資産に投資している場合、シャープレシオでリスクの大きさに比例してしっかりリターンを得ていることも確認しておきます。
➢インデックス型投資信託
特定の指数(インデックス)と運用の成果を連動させ、指数と同じような値動きを目指す投資信託のことです。インデックス型の場合はまず、市場価格と基準価額の連動性を確認します。連動性が高いほど、目的に合った成果を上げている投資信託といえるからです。さらに、価額のぶれが小さいほうが良いのであれば、標準偏差(価額のぶれ)にも注目するといいでしょう。
4.運用実績を見極めて理想の投資信託を選んでいこう
投資信託は商品数が多いので、ご自身のニーズや運用理念に見合った商品を選択することが重要です。運用実績は過去の実績ですが、これまでの実績を確認することで、将来性を計ることができます。
特に、「基準価格と標準偏差」「トータルリターン」「シャープレシオ」の3つは必ず確認するようにしましょう。最初は耳慣れない言葉に戸惑うかもしれませんが、慣れていけば比較は容易になります。焦らずじっくり選び、自分が納得のいく商品に投資していきましょう。
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