ペイオフとは?保護対象となる資産やおすすめのペイオフ対策について
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ペイオフという仕組みをご存知でしょうか。
一般的に銀行にお金を預ける「預金」にはリスクがないとされています。
しかし、銀行が経営破綻すると預金が引き出せなくなるといった注意点があります。
そのようなときのために預金を守る保険制度がペイオフですが、ペイオフには保護対象の範囲や上限があり、万能ではありません。
大切な資産を守るため、ペイオフの仕組みや対策について確認していきましょう。
ペイオフの成り立ち
ペイオフとは、端的に言えば「保険」の仕組みを利用した預金者の資産保護制度のことです。
ただし、「金融機関が加入する保険」のため、預金者が別途保険に申し込んだり、保険料を支払ったりすることはありません。
保険制度を維持・運用する機関は「預金保険機構」です。
ペイオフは預金制度の安定性を守る重要な制度であり、預金保険機構の委員などは、理事長が内閣総理大臣および財務大臣の認可を受けて任命されるなど、公的な側面も併せ持っています。
預金保険制度による預金保護は、主に「保険金支払方式」と「資金援助方式」の2つがあります。
保険金支払方式
金融機関が破綻することで、預金が引き出せなくなる事態が起こり得ます。
そのような状況になっても、預金者に直接保険金を支払うことで、預金者の預金を保護します。
払い戻しはすべての預金者に平等に行われます。
資金援助方式
金融機関などに資金援助を行う方法です。
直接的に金融機関を救済し、破綻に伴う混乱の収拾を図ることで、預金者の預金を保護します。
一般的に金融機関が破綻した場合の保護では、「保険金支払方式」よりも「資金援助方式」が優先されます。
「保険金支払方式」で預金を保護するよりも、混乱の元である金融機関を救済したほうが、最終的には事態の収拾が速やかであると考えられるからです。
ペイオフ解禁の前後でどう変わった?
ペイオフは2005年4月1日に解禁された制度であり、以降預金者は銀行に対する信用リスクを負わなければならなくなりました。
ペイオフ解禁前であれば、金融機関が破産・倒産しても、政府の特別措置により預金の全額が保護されていたのです。
2002年4月1日からペイオフ解禁までの間は、元本保証が1,000万円となっていました。
しかし、ペイオフが解禁されてからは、1,000万円以上預けていても1,000万円しか引き出せないリスクが発生しています。
その結果、金融機関を利用している方は自分自身で金融機関を選び、リスクに備えなければならなくなりました。
たとえば、1,000万円を超える預貯金がある場合、複数の金融機関に等分して預けることがリスク分散になります。
また、現代では金融機関にお金を預けても大きな利益にならないことから、資産運用に使用するのも有効な手段といえます。
資産は眠らせるだけでは増えず、活用しなければ新たな資産を生むことができないため、近年では多くの方が資産運用を行うようになりました。
特に、投資用不動産を購入して家賃収入を利益として獲得する、「不動産投資」は多くの方が実践している投資方法です。
結果として、ペイオフが解禁されたことにより、自分の資産は自分で守らなければならないといった責任が発生したといえます。
ペイオフで保護される対象や範囲
ペイオフで保護される資産の対象や範囲についてもご紹介します。
保護される主な資産
一般預金では、利息が付く普通預金・定期預金・定期積金などが保護対象です。
決済用預金は、当座預金や利息が付かない普通預金なども保護対象ですが、外貨預金などは保護対象外となっています。
保護の上限
預金者1人当たり元本1,000万円までと、破綻日までの利息が保護されます。
ひとつの金融機関に複数の口座がある場合、合算して計算します。
保護超過分は、必ずしも払い戻しが行われないわけではありません。
破綻した金融機関の状況に応じて支払われますが、保護上限を超過した金額は払い戻しが減額される可能性があると考えておきましょう。
対象の店舗
国内に本店がある金融機関は、法律により預金保険制度への加入が義務付けられています。
ただし、日本の金融機関でも海外支店の預金は保護対象外です。
ペイオフ対象外となるもの
ペイオフ対象外となるものは、金融庁により下記のように定義されています。
元本1,000万円を超えるもの
- 利息が付く普通預金
- 定期預金
- 通知預金
- 納税準備預金
- 貯蓄預金
- 定期積金
- 掛け金
- 元本補てん契約のある金銭信託
- 保護預かり専用商品の金融債 など
保護されないもの
- 外貨預金
- 譲渡性預金
- 無記名預金
- 架空名義の預金
- 他人名義の預金
- 元本補てん契約のない金銭信託
- 保護預かり専用商品以外の金融債 など
参考ページ:金融庁ホームページ「預金保険制度Q&A」
(https://www.fsa.go.jp/policy/payoff/02.pdf)
これらを見てみても、自分が所有している資産がペイオフの対象・対象外なのかがわからない方は多いと思います。
そのような場合、預金保険機構が提供している下記のサービスを利用することで、ペイオフの対象・対象外を調べられます。
金融機関に対するリスクに懸念がある方は、事前に調べておいてリスクに備えたアクションを行いましょう。
参考ページ:預金保険機構ホームページ「あなたの預金保護チェック」
(https://www.dic.go.jp/yokinsha/manga_check.html)
ペイオフ対策が必要な3つのケース
ペイオフ対策が必要なケースには、「金融機関当たり1,000万円の預金」や「金融機関の合併」、「外国の金融機関や海外支店の預金」の3つが挙げられます。
金融機関当たり1,000万円の預金
確実に預金保護されるのは、元本ベースでひとつの金融機関当たり1,000万円です。
1,000万円を超える預金の場合はペイオフ対策を考慮しておきたいところです。
ペイオフ対策としては、「利用する金融機関を分ける」方法が一般的です。
金融機関の合併
資金を分散させる場合に注意したいのが、金融機関の合併です。
元本1,000万円以内で資産を保有していても、合併によって1,000万円を超えてしまう可能性があります。
金融機関が合併すると、合併金融機関の数だけペイオフの上限が増えます。
たとえば2行合併なら、「1,000万円×2=2,000万円とその利息」が上限です。
しかし、上限が合併の数だけ増える措置は1年間のみであり、合併に伴う上限の引き上げは特例措置です。
憲法改正などにより、今後は特例が撤廃される可能性もあるので、動向に注意を払うことが必要です。
外国の金融機関や海外支店の預金
外国銀行の日本支店、保険制度に加入している日本の金融機関でも海外支店の預金は保護対象外です。
また、郵便局や農業協同組合、漁業協同組合などは別の保険制度が適用されますので、こちらも保護対象外です。
過去に発動されたペイオフ事例
ペイオフが発動された事例として、2010年9月に日本振興銀行に行われたものがあります。
こちらでは、過去に発動されたペイオフの事例をご紹介します。
「日本振興銀行」とは?
ペイオフが発動された日本振興銀行は通常の銀行とは異なり、下記のような特徴があります。
- 決済機能を持たない特殊な銀行
- 1ヶ月物~10年物までの定期預金のみの取り扱い
- 他の銀行よりも高めの金利
- 銀行間取引に対応していない
日本振興銀行には高い金利を目的として多くの利用者が集まり、破産した場合でも他の銀行に影響が及びにくい銀行でした。
時代背景
日本では1990年代から2000年代にかけて、バブル崩壊に伴う不良債権問題が深刻な社会問題となっており、金融機関を含むさまざまな期間で破綻や閉業が相次いでいました。
そのため、政府は金融システムや預金者の不安を解消するために、1996年にペイオフを一時的に凍結し、預金の全面保護を表明しました。
金融庁の立ち入り検査の実施
同時期に、日本振興銀行でグループ企業へのずさんな融資やノンバンクからの債権買取など、無計画な路線拡大が発覚しました。
金融庁や行政機関による調査の結果、日本振興銀行では債権の査定を見誤ったことで、二重譲渡が行われていたこともわかりました。
その後、金融庁が立ち入り検査の通知を出した2009年の5月にはメールや自行が不利になるような証拠を隠滅するなど、捜査の妨害を行っていたようです。
その後
立ち入り調査が行われた結果、日本振興銀行は経営破綻に陥りました。
破綻時の2010年9月では負債総額は6,805億にも上っており、こちらの数値は戦後最悪の数値でした。
現在では日本振興銀行は預金保険機構の管理下に置かれています。
おすすめのペイオフ対策
前述のように、複数の金融機関を利用するペイオフ対策では、合併が思わぬ落とし穴となる可能性があります。
近年は業績が苦しい金融機関も増えてきており、今後、合併などによる金融業界の再編も活発化するだろうと予想されています。
そのため、こちらでご紹介するペイオフ対策を行い、リスクに備えましょう。
複数の銀行に預金を分散させる
先述の通り、ペイオフ制度の対象となるのは預金額が1,000万円までの場合です。
1,000万円以上の預金がある方は複数の口座に分散することで、リスクに備えられます。
合併は「地銀と地銀」「信用金庫と信用金庫」など同じ種類で、地域的にも近い金融機関同士でなされるケースが多いものです。
そのため、利用する金融機関の傾向が偏らないようにしておくと良いでしょう。
複数の口座を持つことで管理が大変になるという方もいらっしゃいますが、普段の買い物で使用する口座と貯金用の口座を分けておくなど、用途を明確にすることで使い分けることが容易になります。
決済性預金を活用する
預金以外に、資産を分散させる資産分散の視点も持ちたいものです。
資産が預金だけの場合、まずは投資信託や国債などを資産に組み入れてみましょう。
資産分散効果のみならず、分配金や商品の値上がり益が手に入る可能性があります。
また、ペイオフ制度の対象となる条件として、「利息が付く口座」というものが含まれています。
一般的に開設される口座は金利を得られる普通預金口座ですが、利息が付かない「決済用口座」と呼ばれるものがあります。
現在の日本では普通預金口座に預けても金利が低いことから、決済用口座を開設する方が増加傾向にあります。
他の金融資産に投資する
ペイオフとは、金融機関が破綻した際に一定額までの預金額が保護される仕組みを指すものです。
そのため、一種の保険とも言える制度ですが、そもそも破綻しないような安定した経営を行っている金融機関を選ぶことが重要です。
投資信託や国債などをすでに保有している方も、ペイオフ対策を契機に資産ポートフォリオを見直してみましょう。
すでに金融商品を保有している投資経験者の場合、不動産投資などの現物資産を持つという選択肢があります。
金融資産と現物資産を併せ持つことで、ペイオフ対策にとどまらず、広い意味で資産のリスク分散が見込めます。
資産を守るためのおすすめの投資先は?
こちらでは、資産を守るためのおすすめの投資先をメリットと注意点に分けてご紹介します。
国債投資
国債は国が発行する債券で、「普通国債」と「財政投融資特別会計国債」の2つに大別できます。
普通国債のなかには建設国債・特例国債・復興債・借換債の4種類があり、それぞれ国の公共施設や事業に関する財源を調達するために発行します。
国債投資とは、国が発行した債券を購入し、満期になった際に国が全額を返済することから、国が背負う借金とも言えます。
同様に、地方自治体が発行する債券を地方債と呼び、企業が発行する債券を社債と呼びます。
メリット
国債投資のメリットには、「少額からの投資が可能」「預金より利回りが高い」「比較的リスクが低い」といったものが挙げられます。
個人向け国債の場合、1万円単位で購入することができるため、ほかの投資よりも少額で運用できる点が特徴です。
また、国債の金利は0.05%から0.3%程度、メガバンクの普通預金における金利は0.001%から0.2%であることから、利回りが高い傾向にあります。
国債は国が発行しており、国が責任を持って債務を果たすことから、確実に返済できる人にお金を貸しているというイメージで運用できる点もメリットと言えます。
注意点
国債には固定金利と変動金利の2種類があり、市場の金利が上昇した場合でも、固定金利は変動せず、変動金利が上昇します。
そのため、市場の金利が下落した際は変動金利も下がってしまう点には注意が必要です。
また、国が破綻した場合は購入した分の元本が返ってこなくなる点も注意点のひとつです。
国の信用度はJCRやR&Iといった機関が発表しており、ランクが低いほど破綻の可能性が高くなります。
国債を購入する際、これらのポイントに注意しましょう。
投資信託
投資信託とは、投資のプロに運用を任せて、多くの資産に分散投資を行うことを指します。
投資の商品にはさまざまな種類があり、そのなかから最適なものを選ぶためには知識やノウハウが求められます。
投資信託では専門家に運用を依頼するため、投資の知識に明るくない方でも資産運用を行うことができます。
メリット
投資信託のメリットには、専門家が運用してくれる、多くの資産に分散投資を行えるほかに、少額からの運用や透明性の高さなどがメリットとして挙げられます。
投資信託で取引される商品の価格である「基準価額」は毎日公表されており、新聞やWebサイトなどの媒体で誰でも確認することができます。
投資信託は金融商品取引法によって、監査法人などによる監査を受けるように義務付けられていることから、透明性が高い金融商品だと言えます。
注意点
投資信託のリスクとして、「元本保証がない」「手数料が発生する」といったものが挙げられます。
投資信託は市場の動向などによって損得が変動するため、投資した金額よりもマイナスになる可能性がある点には注意が必要です。
また、投資信託を行っている期間は、投資家から手数料を頂くことでビジネスを行っています。
投資信託を行う際、専門家に支払う手数料が発生する点にも注意しましょう。
手数料の割合については企業や専門家ごとに異なるため、1社だけではなく複数社確認することをおすすめします。
不動産投資
不動産投資とは、不動産を購入して物件を貸し出し、家賃収入を得る投資方法です。
購入する不動産は戸建て物件やマンション1棟、区分マンションなどさまざまで、資本や借入金額によって最適なものを選ぶことができます。
また、家賃収入だけではなく、購入した不動産を売却することも不動産投資に含まれます。
メリット
不動産投資には、「少額の自己資本で始められる」「資金繰りの予測が立てやすい」といったメリットがあります。
不動産を購入する際、数百万円以上の資本金が必要になると思われる方も多いことでしょう。
しかし、不動産を購入する際、金融機関が用意している不動産投資ローンを利用して購入することができます。
一般的には、自己資本は購入する不動産の2割程度があれば不動産投資が可能だと言われています。
また、賃貸物件は家賃が一定のため、入居者の数とあわせて収入や支出を計算しやすい点もメリットです。
入居者がいる場合は安定した収入を獲得でき、金融機関にローンを返済できます。
注意点
一方、不動産投資には「入居者の募集」や「ランニングコスト」といった注意点があります。
不動産投資は入居者が支払った家賃を利益として獲得し、ローンを支払います。
そのため、入居者が少ないほど手にする利益が少なくなり、場合によっては自腹でローンを支払う必要があります。
また、不動産を維持するためには管理会社に依頼したり、大規模修繕を行ったりする必要があります。
新規・既存の入居者が満足できる物件にするためには、一定のランニングコストが必要な点には注意しましょう。
おわりに
大切な資産を守るため、ペイオフの仕組みや対策について注意点とあわせてご紹介しました。
ペイオフは預金者にとって頼れる制度です。
上限や保護の対象などの仕組みをしっかり理解し、預金以外の資産分散も視野に入れながら、大切な資産を守っていきましょう。
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