金融×IT、フィンテックが拓く新たな金融サービス
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AI(人工知能)やインターネット技術などの成長が著しい中、規制産業である金融業界にも、IT技術を使って新たなサービスを開拓しようという動きがあります。それがフィンテックです。今回は、フィンテックの注目領域と今後の暮らしの変化をみていきましょう。
フィンテックとは?
フィンテック(FinTech)とは、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、金融サービスと情報技術とを組み合わせた動きを指す言葉です。スマートフォンなどを使った電子送金や電子マネーによる決済(キャッシュレス決済)、スマートフォンをPOSとして利用できるモバイルPOS、資金の貸し手と借り手を直接つなぐマーケットプレイス・レンディング、投資をアドバイスするロボットアドバイザーなど、多種多様なフィンテックサービスが誕生しています。
例えば、ソフトバンクとヤフーの合弁会社が2018年にサービス開始した電子決済のPayPay。これもフィンテックのひとつです。コンビニ、ドラッグストア、飲食店など全国200万カ所以上で、QRコードやバーコードによる電子決済や公共料金の支払いができます。また、PayPayの残高を友人や家族などとやりとりできる「P2P送金」も可能です。
スマートフォンの広がりとともに、フィンテックは欧米などの先進国だけでなく、これまで金融サービスが不十分だった新興国にも急速に普及しています。今後も、ブロックチェーン(分散型台帳技術)を活用した新たなフィンテックサービスは登場していくでしょう。
注目されているフィンテックの領域にはどのようなものがある?
「フォーブス フィンテック50」によると、世界の投資家が注目するフィンテック領域は、デジタル銀行(デジタル・バンク)とインシュアテック(保険分野におけるフィンテック)のようです。2019年のデジタル銀行への投資は前年比157%増の7.7億ドル、インシュアテックへの投資は前年比55%増の6.8億ドルでした。
デジタル銀行とは、実店舗を持たずにデジタル空間でのみ営業する銀行のことで、2015年に全ての銀行機能をアプリで行う世界初のデジタル銀行がイギリスで誕生しました。従業員を最低限にして営業できることから、従来の銀行よりも収益性が高いといわれています。既存の金融機関よりも高金利であることも特徴の一つです。
もともとIT業界のスタートアップが中心となって生まれたデジタル銀行は、インターネットを通じて単発の仕事を受注するウーバーなどのギグエコノミーとも相性がよいとされています。一般的に、ギグエコノミーの働き手は収入が不安定でクレジットスコア(信用偏差値)が低いことから、伝統的な金融機関からの融資が受けにくい、クレジットカードを作りにくいという不便さがありました。その点、新興勢力であるデジタル銀行は、このような方々にも門戸を開いています。
一方、インシュアテックとは、保険とAI、ビッグデータ解析、IoTといったIT技術を組み合わせた新しい保険サービスのことです。例えば、1日単位で加入できる保険商品、持病によって既存の保険に加入できない方向けの保険商品など、今までにない柔軟な保険商品の開発に取り組んでいます。また、保険加入手続きの簡素化や、AIを活用したライフスタイルに合った保険商品の提案なども行います。
フィンテックによって、今後の暮らしはどう変わるのか
非接触でスピーディに決済ができるフィンテックは、国内はもちろんのこと、ますますこれからの世界の経済活動のスピードを速めていくでしょう。また、ソーシャルディスタンス(社会的距離)の確保など、対人接触の減少が求められるアフターコロナ社会においては、人から人の手に渡る紙幣や硬貨をできるだけ避けるという意識は、ますます広がりをみせるかもしれません。実際、各種工業製品や汚染微生物などを調査研究する衛生微生物研究センターによると、紙幣には多くの汚染細菌が付着しているそうです。そのような中、直接お金をやりとりしなくても利用できるフィンテックの需要は、今後一段と拡大すると予想されています。
フィンテックは一層身近な存在に
IT技術の発展やライフスタイルの変化によって、規制産業である金融業界にもデジタルトランスフォーメーション(DX)の波が押し寄せています。日本でも、フィンテックは一層身近な存在となっていくことでしょう。
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