生活防衛資金で万が一に備えよう

生活防衛資金で万が一に備えよう

「何かの理由で収入がストップしてしまったら。」そのような不安を解消する一つの方法が「生活防衛資金」を準備しておくことです。生活防衛資金とはどのような資金のことでしょうか。今回は、生活防衛資金の目的や必要額の目安をご紹介します。

生活防衛資金とは、万が一に備える「お金」のこと

「生活防衛資金」とは、失業・死亡・病気・災害などによる収入の減少・停止に備える「資金」のことです。
「万が一に備える」といえば、保険を思い浮かべる人も多いでしょう。しかし、保険は死亡に対応する生命保険であったり、病気やけがに対応する医療保険であったりと、特定の事態に備えるためものです。また、満期金のない掛け捨て保険では、その期間中に保険金の支払い事項に該当しなければ、支払った保険料は戻ってきません。
一方、生活防衛資金として貯蓄した資金ならばどのような事態でも役に立ちますし、万が一の事態が起こらなければ、そのまま余剰資金として活用することができます。リスクマネジメントである点は、生活防衛資金も保険も同じですが、生活防衛資金のほうが汎用性に優れているのです。

生活防衛資金の重要度は、家族構成によって異なる

生活費は、独身世帯と子供がいるファミリー世帯とではまったく異なります。そこで、ここでは生活防衛資金について「単身ビジネスパーソン」「子供のいない夫婦」「子供のいるファミリー」の3つに分類してみていきます。なお、生活防衛資金が必要になる事態は複数考えられますが、ここでは主に病気やけが、もしくは失業で収入がストップした場合を想定しています。

単身ビジネスパーソンの生活防衛資金

単身者は、扶養家族がなく身軽であることが特徴です。もともと収入のすべてを自分だけで使えるため、もしもの時は生活費を削りやすく、生活の立て直しもしやすいといえます。そのため、生活防衛資金は生活費の3ヵ月~半年分を目安にするとよいでしょう。単身者にとって一番怖いのは、復職に時間がかかる長期入院・療養ですが、その場合は最長1年6ヵ月間受け取れる傷病手当金を活用していきましょう。傷病手当金については後述します。

子供のいない夫婦の生活防衛資金

共働きの夫婦であれば、夫婦同時に失業や罹患することは考えにくいものです。そのため、生活防衛資金も生活費の3ヵ月~半年程度あると心強いでしょう。ただし、「夫婦の職場が同じ」「夫婦で店を経営している」などの場合は同時に失業する可能性が高くなるので、半年~1年分は欲しいところです。
一方、夫婦のどちらか一方だけが働いている場合は、1年分以上の生活防衛資金が望ましいでしょう。もちろん、収入がストップする事態に陥ったら、働いていなかった配偶者は収入を得ようとすることになります。しかし、その場合、まず「仕事を見つける」ところからスタートしなければなりません。つまり、生活が落ち着くまで、それなりの時間がかかるのです。
なお、働いている配偶者が病気やけがした場合で、かつ要件を満たしていれば、傷病手当金を受給することができます。

ファミリー世帯の生活防衛資金

子供がいる世帯の生活防衛資金は、生活費の1年分が目安となります。失業や入院ではありませんが、被災時も子供は病気やけがなどのリスクが高くなります。特に子供が幼い場合は、同じ1年分でも、生活費の算出時に余裕をもって計算しておくと安心です。逆に子供がある程度大きく、もしもの時に「アルバイトで生活費を稼げる」「家事を頼める」場合は、半年分を目安にしてもいいでしょう。
子供がいる世帯は、教育費についても気になるでしょう。教育費を準備するのは大切なことですが、万が一の時に大切なのは学費よりも生活費です。まずは、生活防衛費を確保したうえで教育費を考えていきましょう。

ここでは3つの事例をご紹介しましたが、これらはあくまでも標準的なパターンです。仮に自分(もしくは配偶者)が失業したり、長期入院したりしたら、生活がどうなるのかを現実的にシミュレーションして最終判断をしていきましょう。

公的なセーフティーネットはフル活用しよう

万が一の時は生活防衛資金で生活を守っていくことになりますが、同時に公的な制度を活用することも考えましょう。

失業したときに心強い「失業給付」

雇用保険の加入者が離職・失業し、仕事をしたいのに就業がままならないときは、原則として失業給付(基本手当)を受け取ることができます。受け取れる期間は年齢、雇用保険の加入期間、離職理由などによって変わり、最長で360日(最短90日)です。勤続年数が長い人や、倒産・解雇など不測の事態による失業者は受給日数が長い傾向にあります。
給付額は、賃金日額のおよそ50~80%(60歳~64歳については45~80%)です。賃金日額とは、離職直前6ヵ月間において、毎月支払われた給与の合計を180で割った金額のことをいいます。ただし、1日あたりの給付額は年齢に応じた上限があり、2018年8月1日現在の最高上限額は45歳以上60歳未満の「8,250円」でした。

医療費が多いときに利用したい「高額療養費制度」

病気やけがにより医療費が高額になってしまったときには、医療費の払い戻しが受けられることがあります。医療費の自己負担額が所定の額を超えると、超過分の払い戻しが受けられるのが「高額療養費制度」です。限度額は所得や年齢により異なり、例えば70歳未満で、標準報酬月額が28万~50万円の人であれば、各月における医療費(自己負担分)の限度額の目安は8万円超(2019年3月末時点)です。標準報酬月額とは、毎月給与(年4回以上支給される賞与含む)の月額を一定の幅で区分した金額のことです。
なお、医療費は同じ月(1日から月末まで)で合計するため、月をまたいで医療費を合算することはできません。しかし、世帯合算は可能です。

ビジネスパーソン必見の「傷病手当金」

病気やけがで会社を長く休むことで会社からの給与が望めなくなったときは、健康保険から支給される「傷病手当金」があります。傷病手当金の主な受給要件は次の4つです。
1.業務外による病気やけがの療養のための休業であること(業務中については労災の対象)
2.仕事に就くことができないこと(担当医師等の療養担当者の意見を参考に仕事の内容を考慮して判断)
3.連続する3日間を含む4日以上仕事に就けなかったこと(4日目以降の仕事に就けなかった日に対して支給)
4.休業中給与の支払いがないこと(給与が傷病手当金の額よりも少ない場合、その差額が支給)
これらの要件を満たせば、最長1年6ヵ月の間傷病手当金が受け取れます。1日あたりの受給額は「傷病手当金支給開始日以前の継続した12ヵ月間の各月の標準報酬月額平均額の30分の1に3分の2をかけた金額」です。

生活防衛資金でもしもの事態を乗り切ろう

収入が途絶えたときのことを考えると、「いくらあっても足りない」と、不安になってしまう方もいるでしょう。しかし、生活防衛資金で当座をしのぎつつ、保険や社会保障制度をうまく利用すれば、やがて生活は落ち着きます。不安を軽減するためにも、生活防衛資金をしっかり用意しておきましょう。

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