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不動産投資で合同会社を設立するメリットとデメリット!適切なタイミングは?

不動産投資で合同会社を設立するメリットとデメリット!適切なタイミングは?


不動産投資で合同会社を設立するメリットとデメリット!適切なタイミングは?

不動産投資による利益が増えてくると、法人化によって税金面などの恩恵を受けられる可能性が高くなります。法人化といえば「株式会社」が浮かびやすいですが、不動産投資家の中には「合同会社」を選択する方もいます。株式会社ではなく、合同会社を設立するメリットはどのような点なのでしょうか。

そこで本記事では、不動産投資で合同会社を設立するメリットや注意点を、株式会社と比較して詳しく解説します。法人化する上でどちらが向いているのか知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

【目次】

1.合同会社の設立を考える前に!不動産投資で法人化はすべき?

合同会社の設立を考える前に!不動産投資で法人化はすべき?

不動産投資は副業として注目されている通り、個人としても十分続けられる事業です。しかし、法人化すると個人事業主では得られないメリットがいくつかあります。ここでは、法人化をする前に知っておきたい基礎知識を紹介します。

🔵不動産投資で法人化するメリットとは

不動産投資で法人化するメリットとしては、以下の3つが挙げられます。

・経費計上できる項目が増える
・税額を抑えられる場合がある
・損失の繰越期間が長くなる

法人化すると、家族への報酬支払いや退職金の積み立て、生命保険料を経費として計上できるため、納税額の軽減を期待できます。また、個人名義の不動産には相続税や贈与税がかかりますが、法人化している場合は代表者が亡くなっても発生しません。

損失が出た際の繰越期間が、個人事業主だと最大3年間のところ、法人は最大10年間となる点もメリットです。

🔵合同会社と株式会社との違いとは

株式会社は、株式の発行によって資金を集める会社です。そのため資本の所有者と経営者は異なります。経営の代表者である代表取締役や経営方針は、株主総会によって決定する仕組みです。

一方、合同会社は資本の所有者と経営者が同じであるため、出資した社員の意思によって経営の方向性が決まります。

その他、合同会社と株式会社の相違点を以下にまとめました。

合同会社 株式会社
意思決定方法 総社員の同意 株主総会
代表者の名称 代表社員 代表取締役
決算公告 不要 必要
利益分配 自由に決められる 出資比率によって決まる
定款の認証 不要 必要

2.不動産投資で合同会社を設立するメリット

不動産投資で合同会社を設立するメリット

合同会社と株式投資の主な相違点は、資金の調達方法や意思決定の方法です。それぞれにメリットがありますが、コスト面や運営にかかる手間が省ける点は合同会社の魅力だといえます。ここでは、不動産投資における合同会社のメリットについてさらに具体的に解説します。

🔵会社設立のコストが低い

合同会社の場合、株式会社と比較して、比較的コストを抑えて設立可能です。

支払先 項目 合同会社 株式会社
公証役場 定款用収入印紙代 4万円(電子定款の場合は不要)
定款の認証手数料 0円 資本金100万円未満:3万円
資本金100万円以上300万円未満:4万円
資本金300万円以上:5万円
定款の謄本手数料 0円 約2000円(250円/ページ)
法務局 登録免許税 6万円または
資本金額 × 0.7%
上記のどちらか高い額を納税
15万円または
資本金額 × 0.7%
上記のどちらか高い額を納税
登記事項証明書代 600円 / 1通
印鑑証明書代 450円 / 1通

合同会社は公証人に定款を認めてもらう手続きが不要であり、その分の手数料を抑えられます。また登録免許税も最低6万円からと、株式会社に比べて割安です。初期費用を安く済ませられるため、会社設立のハードルが下がります。

🔵利益配分の自由度が高い

不動産投資における合同会社の設立は、利益配分を自由に設定できる点がメリットです。株式会社の場合、利益は出資割合に応じて配当という形で分配されるため、持ち株の多い株主ほど大きい割合で利益を得られます。

一方で合同会社の場合、基本は株式会社と同等の分配方法ですが、定款に明記すれば利益分配の割合を自由に設定できます。ただし、分配の割合が出資割合と異なるときは、会社への貢献度など合理的な理由が必要です。

🔵決算公告の義務がない

合同会社では決算公告の義務がありません。決算公告とは、法人の財務内容を公開して報告することです。株式会社の場合は、会社法第440条1項に則り、官報や日刊新聞、もしくはインターネット上への掲載によって実施する必要があります。

合同会社であれば決算公告の手間を省ける上、掲載にかかる手数料や登録変更の際に発生する登録免許税も抑えられます。

(参考:官報と官報公告・決算公告「会社法第440条1項」)

3.不動産投資で合同会社を設立するデメリット

不動産投資で合同会社を設立するデメリット

不動産会社で合同会社を設立する魅力として、コスト面の低さや、利益配分の自由度、決算公告の手間を省ける点が挙げられます。しかし株式会社と比較したときに注意すべきポイントもいくつかあるため、ここでは3つに分けて紹介します。

🔵会社としての認知度が低い

合同会社には決算公告の義務がないため認知度が上がりにくく、会社としての信頼性は株式会社と比較して低めだといえます。希望する取引先と契約できない、もしくは良い人材を確保できない可能性が考えられるでしょう。

また株式総会によって経営の方向性が決定する株式会社と比べて、会社の外側に意見を求める機会が少なく、閉鎖的な印象を与えてしまうことも信頼性が上がりにくい要因のひとつです。

🔵株式の発行がない

合同会社は、株式会社のように株式の発行による資金調達ができない点を知っておきましょう。

とはいえ、不動産投資では基本的にはローンを活用するため、株式発行をせずに資金調達できます。属性や信用情報に自信がない方は、以下のような国・自治体制度の利用もひとつの手段です。

・新創業融資制度
・制度融資
・信用保証協会付融資
・少人数私募債

🔵出資者間で揉める可能性がある

合同会社の場合、出資比率に関係なく、出資者一人ひとりが同等の意思決定権を持っています。そのため経営の方向性を決める際に意見が対立し、スムーズな解決に至らない場合、その後の経営や業務に大きな支障を与えてしまうかもしれません。社員が複数人いる場合は、以下のような対策が有用です。

・社員を奇数にして多数決で決定できるようにする
・定款に決議の要件を具体的に記しておく(100万円出資につき1票を所持できる等)
・顧問弁護士など、意見が対立したときに議決権を行使できる第三者を決めておく

なお、一人で経営している場合は対立の心配はなく、家族だけで経営する場合も大きな揉め事は起きにくいでしょう。

4.不動産投資の会社設立は株式会社と合同会社のどちらが良い?

合同会社設立の主な懸念点は、資金調達方法が限られる点や会社の知名度が上がりにくい点です。ただし、不動産投資においては融資や公的制度によって必要な資金は補えます。そのため、不動産投資事業の法人化を検討する場合、設立費用や手間を抑えられる合同会社のほうが向いているといえるでしょう。

なお、ローンの審査は個人(経営者)の属性や信用情報、不動産投資の実績が重要であり、会社の知名度はあまり影響しません。

5.不動産投資で合同会社を設立するのに適したタイミング

合同会社設立を検討するタイミングは、「税金の負担が増えたとき」が適しているでしょう。具体的には、売上や利益に関わる税金と消費税について考えます。

<売上・利益に関して>

個人事業主 ・利益が増えるほど税率は上がる
・税率は5%~45%
合同会社(資本金1億円以下、適用除外事業者以外) ・利益が800万円以下だと15%
・利益が800万円を超えると23.2%
※上記に加えて地方税が発生

課税所得が695万円~899万円の場合、個人の所得税の税率は23%、900万円以上だと33%です。控除や合同会社の地方税を考慮して計算する必要がありますが、おおよそ800万円~900万円の利益を獲得できるようになったタイミングがベターといえます。<消費税に関して>
現状、課税売上高が1000万円を超えると、その2年後から消費税課税事業者となり、消費税の納税義務が発生する決まりです。消費税の課税が決まったタイミングで法人化すれば、さらに2年間消費税の免税を受けられます。
(参考:国税庁「所得税の税率」)
(参考:国税庁「法人税の税率」)
(参考:国税庁「納税義務の免除」)

6.不動産投資で合同会社を設立する具体的な手順

不動産投資で合同会社を設立する具体的な手順

不動産投資で合同会社を設立する際は、会社の具体的な項目を決め書類を作成することから始まります。不備があると、設立が受理されるまでに時間がかかってしまうため、ひとつずつ丁寧に確認し、余裕を持って準備を進めましょう。ここでは合同会社設立の具体的な手順を紹介します。

🔵1.会社の基本事項の決定

まずは、以下のような基本事項を決めなければなりません。

会社の名称 ・名称に「合同会社」など会社の種類が分かる文字列を入れる
・同じ名称の会社がないか確認する
本店所在地 ・会社の本拠地
事業年度 ・事業年度の開始と終了を自由に決定できる(基本は1年間)
・事業年度により決算月や税金の計算方法も決定する
資本金の額 ・会社設立時の費用
・1000万円を超えると消費税の免税事業者とならない
社員や役員 ・社員の氏名や住所を定款に明記

🔵2.書類の準備

次に、合同会社設立時に必要となる、以下のような書類を準備します。

・合同会社設立登記申請書
・定款
・印鑑証明書
・払込証明書
・印鑑届書

定款は、会社保存用と法務局提出用に2部準備が必要です。必要に応じて、代表社員就任承諾書や本店所在地及び資本金決定書も作成しておきましょう。また、合同会社設立時には、代表印(実印)、銀行印、角印といった会社印も必要です。

🔵3.定款を作成

約款とは、会社運営時のルールを示した書類です。会社設立時には、以下のような内容を記載して作成しておく必要があります。

・商号
・会社の事業目的
・本店の所在地住所
・社員の氏名や名称と住所
・社員が有限責任社員であること
・社員の出資金や現物出資の内容、評価の基準
・退社に関する取り決め

他にも社内で取り決めておきたいことを記載しておくと、社員同士でのトラブル回避につながります。約款の作成方法は、日本公証人連合会の「定款等記載例」や法務局の「商業・法人登記の申請書様式」も参考にしてみてください。

(参考:日本公証人連合会の「定款等記載例」)
(参考:法務局の「商業・法人登記の申請書様式」)

🔵4.出資金の支払い

約款に記載されている社員(出資者)が、出資金の払い込みを行います。出資金は社内の財産となるため、個人の資金と分離した管理が必須です。出資金の払い込みが完了したら、払込証明書や財産引継書を作成しておきましょう。

合同会社名義の銀行口座は設立前に準備できないため、出資者の口座を使用します。なお、資本金の払い込みは、約款が認証された日以降でなければ有効となりません。

🔵5.法務局での登記申請

約款の作成と出資金の払い込みが完了したら、法務局で設立登記の申請を行います。登記申請書は法務局ホームページからダウンロード可能で、以下のような内容の記載が必要です。

・商号
・本店
・登記の事由
・登記すべき事項
・課税標準金額(資本金)
・登録免許税
・添付書類
・日付
・申請人の詳細

合同会社設立登記申請書の作成時には、同一の用紙を作成しましょう。法務局の登記簿ファイルに収納し、謄本などで利用するためです。登録免許税の収入印紙を貼り、窓口や郵送、オンラインから選んで申請しましょう。申請後、問題がなければ7~10日程度で受理されて設立が完了します。

(参考:法務局「商業・法人登記の申請書様式」)

7.法人規模の不動産投資にも役立つGALA NAVI!

合同会社での法人化を検討している場合、手続きの手順や必要書類を十分に把握しておく必要があります。設立に適したタイミングや注意点を頭に入れておくことも大切です。

GALA NAVIでは、不動産投資の法人化に関する内容以外にも、投資全般に必要な知識やノウハウを幅広く発信しています。登録費や会員費は無料であるため、コストをかけずに多くの情報を得られ、運用に活用できます。「不動産投資を長期的に続けて成功させたい」という方は、ぜひ利用を検討してみてください。

8.まとめ

まとめ

不動産投資で多くの利益を得られるようになると、法人化によって税金面で大きな恩恵を受けられる可能性があります。不動産投資においては、株式会社より合同会社のほうが向いているでしょう。設立費用のコストが比較的低い、決算公告の手間の必要がないといったメリットがあるためです。

ただし合同会社の設立を検討する際は、適したタイミングや設立の手順を十分に把握しておく必要があります。GALA NAVIでは法人化に必要な情報をはじめ、不動産投資に関する幅広い知識やノウハウを習得可能です。うまく活用して、長期的な不動産投資成功にぜひ役立ててみてはいかがでしょうか。


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