元利均等返済と元金均等返済の違いとは?返済方法の選び方を解説
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マイホームや不動産投資物件を購入する場合、金融機関から資金を借り入れることがあります。その返済方法には、一般的に「元利均等返済」と「元金均等返済」の2つがあります。返済方法によって最終的に支払う総返済額が異なることから、どちらを選択するかは返済計画に大きく影響します。ここでは、両者の返済方法について解説します。
元利均等返済と元金均等返済は何が違う?
「元利均等返済」と「元金均等返済」の違いは、返済方法の仕方です。変動金利や固定金利といった金利選択ではなく、元金と利息をどのように返済していくのかが異なるのです(以下の説明では、金利等の要素は考慮していません)。
元利均等返済
返済当初から一定の金額を返済していきます。返済額は元金と利息を合算した額で、返済額は当初から変わりません。
元金均等返済
元金の返済額が一定となります。一定額の元金に利息が上乗せされますが、利息は借り入れ残額に応じて計算されるため、元金が多い返済当初に最も返済額が多くなります。返済が進み借入残高が減れば、返済額も減っていきます。
両者の大きな違いは、返済額が一定かどうかにありますが、それ以外にも異なる特徴があります。次項以降で、それぞれを比較しながら、メリットとデメリットを紹介します。
元利均等返済と元金均等返済のメリットとデメリット
元利均等返済
メリット
返済額が一定なので、返済プランが立てやすくなります。また、元金均等返済と比較して、返済開始当初の返済額を抑えることができるのもメリットでしょう。借り入れ当初は頭金やローン諸経費等がかかります。マイホーム購入の場合であれば引っ越し費用や家具購入費が発生しますし、不動産投資の場合でもすぐに入居者が決まって家賃収入が得られるとは限りません。借り入れ当初は家計のやりくりや資金繰りが厳しくなる可能性があるため、返済額が一定かつ抑えられれば安心というわけです。
なかには、元利均等返済を選択しても「変動金利であれば、結局金利変動によって返済額が変動する可能性があるのでは」と考える方もいるかもしれません。確かに金利上昇によって返済額が増えるリスクはあります。しかし、変動金利の多くは5年ルールと1.25倍ルールに則っています。「5年ルール」とは、金利変動が生じても、5年間は返済額に反映させず、一定の返済額を保つという決まりです。一方、「1.25倍ルール」とは、金利上昇を返済額に反映させる場合も、返済額の増加は従前の1.25倍までにとどめるという(金利上昇による返済額の増加が1.25倍を超える場合、超過分は「未払い利息」として返済時に支払う)決まりです。
デメリット
元金均等返済よりも、借入金残高の減り方が遅くなります。これは、当初は返済額のうち利息が多くを占めているからです。繰り上げ返済や途中売却をする場合は別ですが、漫然と返済をしていると、総返済額が増えてしまいます。
元金均等返済
メリット
借り入れ当初の返済額は大きいですが、元金が減ることで徐々に返済額が減っていきます。毎月の返済で一定の元金を確実に返済していくことから、元利均等返済よりも元金の減りが早く、総返済額も抑えられます。
デメリット
当初の返済額が多くなりますし、借り入れ当初はより多くの額を返済しなければなりません。また、それに見合った返済能力があるのかを審査されるため、審査がより厳しくなる可能性もあります。さらに、元金均等返済を取り扱っていない金融機関もあります。
不動産投資の場合はキャッシュフローを考慮して決定する
不動産投資の返済に関しては、キャッシュフローの視点も持って、元利均等返済と元金均等返済の判断をしましょう。というのも、不動産投資ローンは家賃収入から返済するのが前提だからです。家賃収入は物件の入居状態に左右されることから、確実に得られるとは限りません。そのため、返済計画は資金力が不足しないよう慎重に考える必要があります。
結論からいえば、資金力に不安があるならば、総返済額が多くなるとしても元利均等返済のほうが向いています。また、今後投資物件を増やしたい場合にも、資金力を確保するには元利均等返済のほうが適しているかもしれません。なお、利息額は不動産所得の計算上の必要経費です。その意味では、利息が多い元利均等返済のほうが節税効果は高くなります。
一方、将来の売却益を大きくしたいという理由から、早く借入金を減らしたいのならば、元金均等返済も検討の余地があります。なぜならば、同じ売却額であっても、返済額が早く減る元金均等返済のほうが、売却益が大きくなるからです。
元利均等返済と元金均等返済で、返済額はどの程度変わる?
元利均等返済と元金均等返済で、毎月の返済額がどの程度変わるのでしょうか。ここでは、Webの無料シミュレーションサイトで比較してみました。
下記にて、前提条件として借入金額と返済期間が同じで、金利が1%と3%の場合を記載します。
なお、シミュレーションの金額は概数です。また、保証料や団信保険料などの費用は考慮していません。
【金利が1%の前提条件】
- 借入金額 5,000万円
- 返済期間 30年
- 金利 1%(全期間固定金利とする)
【毎月返済額】
- 元利均等返済 1万円
- 元金均等返済 0万円(初回返済額)
【初年度総返済額】
- 元利均等返済 193万円
- 元金均等返済 216万円
【総返済額】
- 元利均等返済 5,789万円
- 元金均等返済 5,752万円
【金利が3%の前提条件】
借入金額 5,000万円
返済期間 30年
金利 3%(全期間固定金利とする)
【毎月返済額】
- 元利均等返済 1万円
- 元金均等返済 4万円(初回返済額)
【初年度総返済額】
- 元利均等返済 2,530万円
- 元金均等返済 3,144万円
【総返済額】
- 元利均等返済 7,589万円
- 元金均等返済 7,256万円
金利と元利均等返済、元金均等返済における金額を比較すると、下記のようになります。
元利均等返済 | 元金均等返済 | |||
金利 | 1% | 3% | 1% | 3% |
毎月返済額 | 16.1万円 | 21.1万円 | 18.0万円 | 26.4万円 |
初年度総返済額 | 193万円 | 253万円 | 216万円 | 314万円 |
総返済額 | 5,789万円 | 7,589万円 | 5,752万円 | 7,256万円 |
上記のとおり、当初の毎月返済額は元金均等返済のほうが多くなりますが、総返済額は元金均等返済のほうが少なくなります。また、10年後のローン残高も、元金均等返済のほうが450万円以上少なくなります。ただし、元金均等返済は当初の返済額が大きいため、累積支払金額が元利均等返済を下回るまでに20年以上かかります。
ただし、返済金額については金利だけではなく、ボーナス返済などさまざまな用件で変動します。
ボーナス返済とは、借入金額を半年に一度上乗せして返済する方法を指すものです。
ボーナス返済を利用する際、ひとつの不動産投資ローンのなかで毎月返済分と、ボーナス返済分の2種類のローンが組まれます。
毎月の返済額を軽減できることから、出費を抑えることができるメリットがあります。
しかし、原則として返済額が変わらず、毎月返済のみの場合と比べると住宅ローンの返済総額が増加します。
そのため、なかにはボーナスローンを利用しないという方がいらっしゃるものです。
ボーナス返済を利用する際、企業の業績によるボーナス支給額の変動も視野に入れなければなりません。
返済方法は、「総返済額よりも毎月の返済額を抑えたいので元利均等返済」「ローン残高の減りが早いほうがいいから元金均等返済」など、ご自身の投資計画に応じて選択していきましょう。
どちらの返済方法を選ぶべきか
元利均等返済と元金均等返済では毎月の返済金額や総返済額など、金銭面においてさまざまな違いがあります。
これから不動産投資を行う方のなかには、「どちらの返済方法が良いかが分からない」という方がいらっしゃるでしょう。
こちらでは、元利均等返済と元金均等返済に向いているケースをご紹介します。
元利均等返済が向いているケース
元利均等返済が向いているケースは、長期間不動産を売却する予定がない状況を上げることができます。
不動産による収益には、売却益を獲得するキャピタルゲインと、家賃収入や配当金を得るインカムゲインに分けられます。
長期間不動産を売却する予定がない方の収益は、インカムゲインになります。
元利均等返済は、金利の変動がなければ毎月の返済額も変わらない性質を持ちます。
そのため、毎月一定の不動産収益を得ることができるインカムゲインと元利均等返済は、相性が良いといえるでしょう。
住宅ローンについても同様で、子育てをしていて注文住宅を建てる方などは元利均等返済が向いています。
いずれの状況でも、毎月安定した収入を得ている方が対象になります。
元金均等返済が向いているケース
元金均等返済が適しているケースは、状況次第で不動産の売却を視野に入れている状況が挙げられます。
不動産投資は、ほとんどの場合返済開始初期の負担が重くなる傾向にあります。
元金均等返済は残債の減少が一定のペースで進むことから、オーバーローンの解消が早く進行する性質を持ちます。
また、不動産を売却する際、得た金額で住宅ローンの残高を完済できない残債割れを防げる可能性が高い傾向にあるのです。
残債割れが発生しても、先述した理由から元利均等返済よりも少ない金額で済ませることができます。
このように、元利均等返済と元金均等返済に合っているケースはさまざまな要因で異なります。
これらを判断する際には、「長期的に不動産を所有するのか」「いつでも手放すことを想定しているのか」で検討しましょう。
長期的に不動産を所有する場合は元利均等返済、いつでも手放す予定の場合は元金均等返済がおすすめです。
総返済額を減らすなら繰り上げ返済も選択肢
しかし、不動産投資を行う際には高額を金融機関から長期的に借り入れます。
どのような借り入れ方法・返済方法を選んでも、借り入れた金額が変動することはありません。
また、返済時には金利や手数料を支払わなければならないため、借り入れた金額以上の返済が求められます。
しかし、借り主のなかにはさまざまな要因で大金を得る方がいらっしゃいます。
そのような場合、繰り上げ返済を行って毎月の返済額や返済期間を短縮することを検討しましょう。
下記、繰り上げ返済のなかに含まれる返済型です。
- 返済期間短縮型:毎月の返済額を変えずに、返済期間を短縮する方法
- 返済額軽減型:毎月の返済金額を減らすが、返済期間を変えない方法
いずの返済型でも、借り主の負担を軽減することができるため、まとまったお金を得た方は検討してみましょう。
一括返済とは
一括返済とは、別名全額繰り上げ返済と呼ばれるもので、ローンの残りの金額を一括で返済することです。
不動産投資の場合、投資物件の売却時に行われることが多く、売却損がないタイミングを狙って不動産を手放します。
注意点として、一括返済のときでも手数料がかかってしまう可能性がある点が挙げられます。
手元に残る金額はわずかであることが多く、新たにほかの物件を購入し、不動産投資を広げる可能性を考慮しなければなりません。
返済プランや資金に合った返済方法を選択しよう
基本的に完済を目指すマイホームの住宅ローン返済であれば、返済方法を選ぶ際に大きな要素を占めるのは返済額でしょう。しかし、不動産投資の場合は、返済額以外にも複数の要素を考慮する必要があります。また、元利均等返済と元金均等返済のどちらの返済方法を選ぶかは、資金力にも影響を与えます。そのため、不動産投資を行う場合は資金力や返済プラン、その後の不動産投資の方向性等を含めてベストの選択をするようにしましょう。
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