元利均等返済と元金均等返済、どちらを選ぶ? 返済方法によって変わる返済計画
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マイホームや不動産投資物件を購入する場合、金融機関から資金を借り入れることがあります。その返済方法には、一般的に「元利均等返済」と「元金均等返済」の2つがあります。返済方法によって最終的に支払う総返済額が異なることから、どちらを選択するかは返済計画に大きく影響します。ここでは、両者の返済方法について解説します。
1.元利均等返済と元金均等返済は何が違う?

「元利均等返済」と「元金均等返済」の違いは、返済方法の仕方です。変動金利や固定金利といった金利選択ではなく、元金と利息をどのように返済していくのかが異なるのです(以下の説明では、金利等の要素は考慮していません)。
➣元利均等返済
返済当初から一定の金額を返済していきます。返済額は元金と利息を合算した額で、返済額は当初から変わりません。
➣元金均等返済
元金の返済額が一定となります。一定額の元金に利息が上乗せされますが、利息は借入残額に応じて計算されるため、元金が多い返済当初に最も返済額が多くなります。返済が進み借入残高が減れば、返済額も減っていきます。
両者の大きな違いは、返済額が一定かどうかにありますが、それ以外にも異なる特徴があります。次項以降で、それぞれを比較しながら、メリットとデメリットを紹介します。
2.元利均等返済と元金均等返済のメリットとデメリット

🔵元利均等返済
➣メリット
返済額が一定なので、返済プランが立てやすくなります。また、元金均等返済と比較して、返済開始当初の返済額を抑えることができるのもメリットでしょう。借入当初は頭金やローン諸経費等がかかります。マイホーム購入の場合であれば引っ越し費用や家具購入費が発生しますし、不動産投資の場合でもすぐに入居者が決まって家賃収入が得られるとは限りません。借入当初は家計のやりくりや資金繰りが厳しくなる可能性があるため、返済額が一定かつ抑えられれば安心というわけです。
なかには、元利均等返済を選択しても「変動金利であれば、結局金利変動によって返済額が変動する可能性があるのでは」と考える方もいるかもしれません。確かに金利上昇によって返済額が増えるリスクはあります。しかし、変動金利の多くは5年ルールと1.25倍ルールに則っています。「5年ルール」とは、金利変動が生じても、5年間は返済額に反映させず、一定の返済額を保つという決まりです。一方、「1.25倍ルール」とは、金利上昇を返済額に反映させる場合も、返済額の増加は従前の1.25倍までにとどめるという(金利上昇による返済額の増加が1.25倍を超える場合、超過分は「未払い利息」として返済時に支払う)決まりです。
➣デメリット
元金均等返済よりも、借入金残高の減り方が遅くなります。これは、当初は返済額のうち利息が多くを占めているからです。繰上返済や途中売却をする場合は別ですが、漫然と返済をしていると、総返済額が増えてしまいます。
🔵元金均等返済
➣メリット
借入当初の返済額は大きいですが、元金が減ることで徐々に返済額が減っていきます。毎月の返済で一定の元金を確実に返済していくことから、元利均等返済よりも元金の減りが早く、総返済額も抑えられます。
➣デメリット
当初の返済額が多くなりますし、借入当初はより多くの額を返済しなければなりません。また、それに見合った返済能力があるのかを審査されるため、審査がより厳しくなる可能性もあります。さらに、元金均等返済を取り扱っていない金融機関もあります。
🔵不動産投資の場合はキャッシュフローを考慮して決定する
不動産投資の返済に関しては、キャッシュフローの視点も持って、元利均等返済と元金均等返済の判断をしましょう。というのも、不動産投資ローンは家賃収入から返済するのが前提だからです。家賃収入は物件の入居状態に左右されることから、確実に得られるとは限りません。そのため、返済計画は資金力が不足しないよう慎重に考える必要があります。
結論からいえば、資金力に不安があるならば、総返済額が多くなるとしても元利均等返済のほうが向いています。また、今後投資物件を増やしたい場合にも、資金力を確保するには元利均等返済のほうが適しているかもしれません。なお、利息額は不動産所得の計算上の必要経費です。その意味では、利息が多い元利均等返済のほうが節税効果は高くなります。
一方、将来の売却益を大きくしたいという理由から、早く借入金を減らしたいのならば、元金均等返済も検討の余地があります。なぜならば、同じ売却額であっても、返済額が早く減る元金均等返済のほうが、売却益が大きくなるからです。
3.元利均等返済と元金均等返済で、返済額はどの程度変わる?

元利均等返済と元金均等返済で、毎月の返済額がどの程度変わるのでしょうか。ここでは、Webの無料シミュレーションサイトで比較してみました。なお、シミュレーションの金額は概数です。また、保証料や団信保険料などの費用は考慮していません。
【前提条件】
■ 借入金額 5,000万円
■ 返済期間 30年
■ 金利 3%(全期間固定金利とする)
【毎月返済額】
■ 元利均等返済 21.1万円
■ 元金均等返済 26.4万円(初回返済額)
【初年度総返済額】
■ 元利均等返済 2,530万円
■ 元金均等返済 3,144万円
【総返済額】
■ 元利均等返済 7,589万円
■ 元金均等返済 7,256万円
上記のとおり、当初の毎月返済額は元金均等返済のほうが多くなりますが、総返済額は元金均等返済のほうが少なくなります。また、10年後のローン残高も、元金均等返済のほうが450万円以上少なくなります。ただし、元金均等返済は当初の返済額が大きいため、累積支払金額が元利均等返済を下回るまでに20年以上かかります。
返済方法は、「総返済額よりも毎月の返済額を抑えたいので元利均等返済」「ローン残高の減りが早いほうがいいから元金均等返済」など、ご自身の投資計画に応じて選択していきましょう。
4.返済プランや資金に合った返済方法を選択しよう

基本的に完済を目指すマイホームの住宅ローン返済であれば、返済方法を選ぶ際に大きな要素を占めるのは返済額でしょう。しかし、不動産投資の場合は、返済額以外にも複数の要素を考慮する必要があります。また、元利均等返済と元金均等返済のどちらの返済方法を選ぶかは、資金力にも影響を与えます。そのため、不動産投資を行う場合は資金力や返済プラン、その後の不動産投資の方向性等を含めてベストの選択をするようにしましょう。
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