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不動産投資における減価償却とは? 基本の考え方と計算方法

不動産投資における減価償却とは? 基本の考え方と計算方法


不動産投資における減価償却とは? 基本の考え方と計算方法

不動産投資の確定申告において減価償却の理解は不可欠です。

しかし、普段の生活ではなじみがない仕組みのため、難しいと感じられる方もいるかもしれません。

特に、本業と並行して不動産投資を行う場合、不動産投資について学ぶ時間を確保するのも大変でしょう。

本記事では、不動産投資における減価償却の基本とその計算方法をご紹介します。

不動産投資における減価償却とは

通常、経費は発生した年だけのものであり、次年度に繰り越すことはできません。

しかし、車や建物など一部の資産については、その購入費を経費として所定の年数、分割して差し引くことができます。

例えば、3,000万円の区分マンションを購入した場合に経費として計上できるのが購入年だけだとしたら、経費が購入年に大きく偏ります。

そこで使用可能な年数に分割して費用に計上ができるようになっているのです。

この仕組みを「減価償却」といいます。

減価償却は、経過年数に応じて価値が減少するものが対象のため、土地は減価償却を行うことはできません。

周辺環境の変化や自然災害などで土地の価格が下落したとしても、土地そのものが劣化するわけではないためです。

 

減価償却費を計算してみよう

減価償却による経費は、税務上「減価償却費」と呼ばれます。

こちらでは、減価償却費の計算方法をみていきましょう。

 

減価償却の決まり:耐用年数と按分方法

最初に、分割できる年数(「耐用年数」という)を確認します。

耐用年数は、対象物の使用可能な年数に応じて定められています。

建築様式によって年数が異なるため、ここでは主なものをご紹介します。

 

耐用年数(住宅用建物の場合)

  • 木骨モルタル造 20年
  • 木造・合成樹脂造 22年
  • れんが造・石造・ブロック造 38年
  • 鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造 47年

 

堅牢な建物ほど耐用年数が長いことが分かります。

なお、「ベッド8年」「冷房用・暖房用機器6年」「電気冷蔵庫・電気洗濯機6年」のように、家具や電化製品も減価償却の対象ですので、家具・家電付きで賃貸を行うならば減価償却を大いに活用しましょう。

耐用年数は、国税庁ホームページ(HP)で確認可能ですので、備品を購入する際は事前に確認してみてください。

 

按分方法:定額法と定率法

次に、どのように按分するかを決めます。

減価償却の按分方法には大きく分けて「定額法」と「定率法」があります。

定額法は毎年同じ金額を、定率法は初年度が多く、2年目、3年目と金額を減らしていくという方法です。

ただし、1998年4月1日以降に取得した建物の償却方法は「旧定額法」または「定額法」、2016年4月1日以降に取得した建物は「定額法」のみしか選択できません。

 

減価償却費の計算

減価償却費は、下記のように「定額法」「定率法」「簡便法」の3種類があります。

 

定額法

定額法は、各年の減価償却費が同額です。

減額償却費が毎年変わる定率法と比較すると、計算式は非常にシンプルです。

 

取得価額×定額法の償却率

上記計算式の「償却率」も耐用年数・取得時期に応じて決められています。

簡易的な計算事例をご紹介します。

【前提条件】

  • 取得価額1,000万円
  • 耐用年数10年
  • 償却率 100

【毎年の計算式】

1,000万円×0.100=100万円

 

定率法

定率法は、償却費の額が初めの年ほど多く、年を経るごとに減少します。

このように計算すると、減価償却費の額は毎年小さくなっていきます。

(取得価額-前年までの償却費の合計額)×定率法の償却率

※上記の金額が償却保障額に満たなくなった年以降は、「改定取得価額×改定償却率」
注意したいのは、その金額が償却保証額に満たなくなった場合は、それ以降「改定取得価額×改定償却率」で計算する点です。

途中で計算式が変わるので難しく感じるかもしれませんが、それぞれの数値は規定されていますので、数値を当てはめていけば計算できます。

 

簡便法

簡便法は、建物や設備の「中古取得時」に用いられる減価償却方法で、法定耐用年数が不明な場合でも簡単に耐用年数を求められるのが特徴です。

この方法を使うと、耐用年数の算定がシンプルになり、取得後すぐに減価償却費を計算できます。

中古資産の耐用年数は、次の式で求めます。

法定耐用年数×20%

ただし、上記で計算した年数が2年未満になった場合は、一律で「2年」とする決まりです。

また、実際の残存耐用年数が分からない場合や帳簿の引継ぎができないケースでのみ使える点に注意しましょう。

あくまで「簡便的に求める」ための計算式であり、状況によっては他の方法(見積法など)を使う必要があります。

耐用年数の求め方が簡単に見えるかもしれませんが、使用できる条件が定められているため、該当する場合のみ利用するようにしましょう。

参考ページ:国税庁ホームページ「No.5404 中古資産の耐用年数

 

減価償却を活用した節税方法のメリット

減価償却を活用した節税方法

こちらでは、減価償却が不動産投資における節税へどのように寄与するかを整理し、効果的なポイントを分かりやすくまとめています。

 

大きな節税効果を得られる仕組み

建物の減価償却費は金額が大きく、毎年一定額を経費として計上できるため、所得税や住民税を抑える効果が現れます。

特に2年目以降は実際の支出を伴わずに経費計上できるため、手元資金を維持したまま課税所得を圧縮できる点が魅力です。

 

キャッシュフロー改善との相性がよい

減価償却費は非現金費用であるため、家賃収入を維持しながら帳簿上の所得だけを減らせます。

これにより、投資家はキャッシュフローを確保しながら将来の運用や修繕に備えやすくなります。

特に中古物件は償却期間が短く、初期の節税メリットが大きい点も特徴です。

 

安定した長期運用と相性がよい制度

減価償却は毎期コンスタントに経費化できるため、長期シミュレーションを立てやすい制度です。

運用年数に応じて節税効果が積み上がるため、長期的な資産形成にも寄与します。

計画的な収支管理と組み合わせることで、投資効率の最適化にもつながります。

 

減価償却を節税に活用する際の注意点

節税効果が大きい制度ですが、申告方法や収支計画を誤ると税負担の増加につながる場合があります。

こちらでは、減価償却を節税目的で活用する際に注意すべきポイントを整理しています。

 

申告漏れによる節税効果の減少

減価償却費を経費として反映させるには、確定申告で正確に計上する必要があります。

固定資産税や損害保険料と同様に、申告を行わなければ経費として認められません。

特に不動産収入には賃料だけでなく、複数の付帯収入が含まれる点に注意が必要です。

 

不動産収入として計上すべき項目

  • 更新料
  • 頭金や契約金として受け取る金銭
  • 敷金・保証料のうち返還しない金額
  • 共益費として受け取る電気代・水道代・清掃費など
  • 名目が異なっても実質的に賃料とみなされる金銭

これらを正確に申告しないと、課税所得が増える原因になります。

 

節税だけに偏ると資金計画を誤るリスク

減価償却によって所得を圧縮できても、融資返済や管理費、修繕費などの支出が続く点は忘れてはいけません。

節税効果ばかりを追求すると、実際のキャッシュフローが不足し、運用に支障が出る可能性があります。

資金面で注意すべきポイント

  • 済額が収入を上回ると手元資金が不足する
  • 修繕費・管理費などの固定支出は避けられない
  • 節税目的に偏ると物件選定を誤りやすい
  • 売却時には簿価低下により課税額が増える可能性がある
  • 長期運用を前提に、節税・収益・出口戦略のバランスを取ることが求められます。

 

正確な収支管理と制度理解が不可欠

減価償却は強力な制度ですが、仕組みを理解せずに活用すると税務リスクにもつながります。

専門家に相談しながら、計画的に収支を管理し、制度を正しく活用する姿勢が重要です。

 

減価償却で大きな節税効果を得るためのポイント

減価償却で大きな節税効果を得る

建物価格の把握から長期戦略の設計まで、節税効果を高める具体的な視点をまとめました。

こちらでは、減価償却を最大限活用するために押さえておくべき重要ポイントを整理しています。

 

建物価格と諸経費を正確に把握することが基礎

減価償却の金額は建物価格を基準に算出されるため、土地と建物を正確に按分することが最初のステップです。

取得時にかかる登記費用などの諸経費が資本的支出に該当する場合、建物価格に加えることで償却額が増えるケースもあります。

中古物件では耐用年数を短く設定できるため、初期の節税メリットが大きい点も特徴です。

 

キャッシュフローと出口戦略の両面で考える

減価償却は毎年安定的に経費を計上できますが、最終的には簿価が下がるため、売却時の譲渡所得に影響します。

節税効果が大きいほど、売却時には課税される可能性が高まるため、運用中のメリットと出口戦略のバランスを取ることが欠かせません。

また、管理費や修繕費、返済額を踏まえたキャッシュフロー管理を行うことで、長期的に安定した運用ができます。

安定した資産形成を行ううえで、減価償却を戦略的に活用する姿勢が求められます。

 

減価償却費算出にトライしてみよう

減価償却計算では聞きなれない言葉が多く、難しく感じるかもしれません。

仕組みをすべて分かろうとするよりも、実際に計算をしながら理解していくことをおすすめします。

税理士等の専門家に相談もできますので、気負う必要はありません。

ご自身の資産を守るためにも、積極的に挑戦してみましょう。


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