「マンションは管理を買え」の意味とは?管理状況の見極めポイントについて解説
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「マンションは管理を買え」という言葉をご存知でしょうか? 新築マンションがきれいなのは当然です。
しかし、そこから数十年にもわたって、きちんと管理がされなければマンションの機能や外観が維持されず、マンション自体の資産価値低下を引き起こすことにつながります。
資産価値を維持するためには、新築時から将来に向けての管理をすることが重要となります。
中古マンションの場合、購入の際に自分で管理状況を確かめることが可能なため、管理状態が良い中古マンションを購入することで、マンション投資で失敗するリスクを抑えられます。
中古マンションを購入するときに知っておきたいマンション管理について3つの注意点を紹介します。
「マンションは管理を買え」とは
管理状況を無視したマンション購入は、会社名だけを見て株式投資をするのと同じように危険なことです。
株式投資を行うとき、投資対象の会社が利益を上げているのか、長期にわたって継続的に利益を出せるか、債務超過に陥っていないかなど、財務状況や営業販売戦略などを丹念に調査しないと安定した利益は上げられません。
マンション投資にも同じことがいえます。
マンションの管理状況を確実に把握することは、将来的な資産価値の低下を食い止めることにつながります。
「マンションは管理を買え」という言葉は、「マンションの管理状況を調査して、適切な管理が行われているマンションを購入しなさい」という意味です。
マンション投資は、少なくとも「管理費・修繕積立金」「管理組合の活動状況」「建物の管理状況」の3点を十分に考慮して購入決定をしましょう。
マンションの管理状態が悪いとどうなる?
マンションの管理については、下記のように「物理的」「社会的」「経済的」な劣化を防止することを目的としています。
物理的
マンションに限らず、有形の資産は年月の経過とともに、表面や内部などが徐々に劣化していくものです。
最新技術が用いられている建物の場合は劣化の進行は遅い傾向にありますが、既存の建物は経年劣化により下記の症状が見られます。
- 壁面のひび割れ
- 雨や紫外線などにさらされることによる中性化
- 防音や耐震といった性能の低下
- 自然災害に対する安全性の低下
- 構造が安定しなくなったことによる信頼性の低下 など
前提として、マンションは安全な建物である必要があり、住民の生命や財産を守れる耐久性が求められます。
物理的に劣化が進行したマンションは、住民の生命や財産を守りにくくなるため、入居者が集まりにくいといえます。
社会的
どのようなマンションでも、当時の流行や求められているニーズを反映した構造で建てられているものです。
しかし、ライフスタイルの変遷などによりデザインやニーズが変わったことにより、社会的に価値が下がってしまうことがあります。
また、建築基準法の改正により既存不適格になってしまうと、大規模修繕や改装が必要となることもあるでしょう。
下記は、社会的劣化に含まれる要因の一例です。
- 現在の建築デザインに適していない
- 建築基準法の改正により、構造が法を満たさなくなった
- 入居者のニーズに合っていない
- 現代の生活スタイルに適合していない など
たとえば、現代では多くの課程に導入されているWi-Fiが接続できないことなどが、社会的劣化に含まれます。
テレワークやスマート家電などを使える選択肢がないことは、入居者のニーズに合っていないといえます。
経済的
先述の通り、マンションやアパートといった不動産は、さまざまな箇所で経年劣化を引き起こします。
マンションを所持している方のなかには、まとまったお金が必要になったことから売却を考えることがあります。
「○○円で購入したから、○○円くらいで売れるだろう」と思っていても、見積もってみると想定より低いことは珍しくありません。
その原因は、下記の要因によりマンションが経済的に劣化したことが考えられます。
- 高額な保守間負担が発生する
- 大規模修繕の期間が近くなった
- エネルギーロスが大きい
- 交通の利便性が下がったことによる、資産価値の低下
- 建物の劣化などによる、価値そのものの低下 など
マンションを管理・修繕する際には、入居者の合意が必要なときがあり、場合によっては改修や修繕ができないことがあります。
そのため、マンションを所有している際は、どのような姿勢で運営しているのかを確認することが重要です。
これらを防ぎ、価値の低下を抑えることを目的としてマンションやアパートには最善の状態を維持できるように管理が求められます。
マンションの管理状態を見極めるポイント
こちらでは、マンションの管理状態を見極めるポイントをご紹介します。
管理費・修繕積立金
マンションを購入する立場では、物件価格に注目されると思いますが、「管理費・修繕積立金」も大事なポイントになります。
「安ければ安いほど良い」ではなく、適正な金額水準がどうかを見極める必要があるでしょう。
管理費は日常的な管理や、設備保守などに使用されるものであり、管理費が適正な金額よりも安ければ、管理が行き届かず入居したいと思える魅力のあるマンションになりません。
修繕積立金は、共用部の修繕費用のために積み立てる費用であり、主に大規模修繕に備えるためのものです。
修繕積立金が少なければ、建物の老朽化の進行を防止したり古くなった設備を入れ替えたりできず、快適に長く住めるマンションになりません。
管理費・修繕積立金が十分でないと、マンションの資産価値・入居希望者の減少を招きます。
一般的に、マンションの管理は管理組合が管理会社に業務を委託します。
管理会社の提供するサービスは管理費によってまかなわれるので、管理費が安いと、共用スペースに汚れやゴミが残っていたり、照明が切れたままになっていたり、と管理業務が行き届かない可能性があります。
また、エレベーターやその他設備などの故障が多いと、入居者が住み続けたいと思える魅力的なマンションになりません。
一方、管理費が高ければ良いマンションといえるかというと、そうではありません。
高い管理費を支払っていても、適切な管理業務が行われていないことも考えられます。
管理費が適切な水準かどうかは平均値と比較することである程度推測できます。
平均管理費は、国土交通省の「平成25年度マンション総合調査結果」の「管理組合向け調査の結果(3)」の164ページ以降に掲載されているマンションの規模別、形態別、地域別の管理費の平均価格が見ることでわかります。
平均費用からかけ離れているときは注意が必要ですが、共用部設備が充実しているマンションなどでは一般的に管理費が高くなる傾向があります。
修繕積立金にも十分な注意が必要です。修繕積立金が低く設定されているマンションでは、長期的な大規模修繕の際に資金不足に陥って適切な修繕が行われないことが考えられます。
マンションを維持管理していくために必要十分な修繕積立金について、1平米あたりの平均値修繕積立金の金額を国土交通省が公表しています(参照:「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」の概要」)。
購入予定のマンションの修繕積立金をこの数値と比較することで、修繕積立金が不足しているマンションかどうかを推測できます。
また、修繕積立金の金額・残高と、大規模修繕予算の整合性を確認しないと、大規模修繕が資金不足でできない可能性があります。
そのほかにも、管理費・修繕積立金の滞納額、管理費・修繕積立金値上げの予定なども併せて購入前には確認をしておかねばなりません。
管理費・修繕積立金について説明いたしましたが、マンションの規模・管理仕様によって、適正な金額は変わるため留意が必要です。
管理組合の活動
管理組合が主体的に活動しているかどうかについてもチェックしましょう。
管理組合は、マンション所有者全員によって構成される団体で、主な業務は共用部分の清掃、長期修繕計画の作成、管理費・修繕積立金の運用などがありますが、実務は管理会社に委託されているのが一般的です。
実際に住んでいる方が多く、管理意識も高い管理組合では、日常的に活動し、管理会社に対して要望を伝えることで、適正な管理を行うことが可能となります。
所有者が遠方に住んでいることも多い投資用マンションなどでは、日常的な活動は難しくなります。
ただし、管理組合の適正な活動はマンションの資産価値維持にもつながるため、ご自身の資産状況を把握する意味でも、過去の定期総会資料などを確認することが重要です。
管理組合の運営状況を知るためには、購入検討時に管理規約や長期修繕計画を詳しく読んだり、管理会社に管理業務の内容や頻度を確認したり、マンションを実際に訪問して管理状況を確認したりするなど入念な事前調査を行いましょう。
共用部分の清掃状況
マンションにおける共用部分とは、エントランスやエレベーター、廊下などになります。
マンションの管理状況を見極めるためのポイントとして、共用部分の清掃状況の確認が挙げられます。
エントランスやエレベーター、廊下といった場所は、入居者や管理組合が掃除を行います。
共用部分が汚い場合や、ごみ捨てのルールがない状況は清掃・管理が行き届いていないといえます。
また、入り口前などに設けられている植栽が生えっぱなしの状態だと、清潔感がないと思われてしまうものです。
その結果、現地を訪問した入居希望者が離れてしまうだけではなく、既存の入居者が退去してしまうリスクがあります。
不動産経営において入居率・空室率は収益に大きくかかわる要素であるため、こまめに掃除するようにしなければなりません。
現地での清掃状況を確認するだけではなく、維持修繕計画を作成し、実行することも重要です。
なお、各部屋に設けられているベランダも実は共用部分になることをご存知でしょうか。
ベランダについては気になる家庭を訪問し、定期的に清掃を行ってもらいたい旨を説明しましょう。
掲示板の状況
マンションのエントランスなどに設けられている掲示板の設置箇所は、住民全体に情報を伝えるために利用されます。
エレベーターの定期点検やゴミ出しルールの徹底など、現状や今後などについて伝えておくべきことが掲載されています。
適切に管理されているマンションの場合、掲載されている情報は新しいものが多い傾向にあります。
一方、管理が行われていないマンションの場合、古い案内がそのまま放置されていることが多いものです。
なかには数年前の情報が掲載されていることがあり、そのような物件はずさんな管理といわざるを得ません。
また、入居者のなかには足腰が不自由な高齢者や、視力が低い方など、さまざまな入居者がいらっしゃいます。
そのような方に対して、エレベーターの定期点検に関する告知が行われていなかった場合、不満を感じてしまうものです。
その結果、入居者が「ちゃんと管理していない」と不満を抱えてしまい、退去につながってしまう可能性が高くなります。
そのため、マンションの管理状況を確認するために、掲示板は見ておくべきポイントのひとつといえます。
内部紛争の有無
マンション管理組合のなかには、高いモチベーションでマンションの治安維持などに努めているわけではない方がいらっしゃいます。
場合によっては、「あの人は管理会社と金銭的な関係があるのでは?」と悪い方向に考える方もいらっしゃるものです。
管理組合内で考え方に温度差がある場合、内部紛争が起きやすくなります。
内部紛争が頻繁に発生してしまうと、マンションの管理がおろそかになってしまい、資産価値が下がる可能性が考えられます。
お互いに考えがあっての言動だとは思いますが、場合によっては意見を受け入れられないことがあるでしょう。
そのような場合、当人同士だけではなく、第三者を入れた話し合いを行うことが有効です。
内部紛争が起きているマンションでは、住民同士の関係性が悪くなってしまう可能性が高く、居心地が悪くなってしまいます。
結果として、不快な物件には住みたくないと考える方が増加してしまい、限界に達したときに退去につながります。
マンション管理で重要な3要素
下記は、マンション管理で重要な3要素です。
ハード面の管理
マンション経営におけるハード面とは、壁面のひび割れや防音・耐震性能の低下といった、物理的な劣化を指します。
物理的劣化には耐震や耐火性の劣化も含まれており、住民の生命や財産を危険にさらしてしまう可能性があります。
そのため、マンションのオーナーは定期的にメンテナンスを行ったり、大規模修繕を行ったりします。
これらを行う際には、事前に管理組合や居住者に了承を得る必要があり、無断で行うことはできません。
また、いつ・どこに・どのような修繕を行ったのかについては、記録として残しておくことをおすすめします。
記録として保管しておくことによって、第三者に開示を求められた際にすぐ見せることができ、実績を見てもらうことができます。
ソフト面の管理
マンションにおけるソフト面とは、マンションによって決められているルールやトラブルの解決スピードなどが挙げられます。
集合住宅であるマンションは、住民同士が尊重して、近隣に迷惑がかからないようさまざまなポイントに注意しなければなりません。
しかし、場合によっては騒音や振動といったトラブルのもとが発生してしまい、住民同士で口論になってしまうことがあります。
単発であれば許容されることが多いですが、頻繁に発生すると住民の満足度が下がってしまい、退去に至る可能性が高まるでしょう。
そのため、マンションのオーナーは事前にルールを設けておくだけではなく、トラブルが発生した際には早急な対応が求められます。
その際、片方を責めるのではなく、双方の意見を聞いてから対応する必要があります。
コストの管理
マンション運営を行っていると、管理費や修繕費などさまざまな出費が発生します。
コスト管理がずさんな場合、正確な収支がわからなくなるため、ふたを開けてみると赤字経営だった、ということになりかねません。
出費の相場がわからない場合、支払っている費用が適正価格なのかを判断することができないものです。
そのため、マンション運営を行う際には、相場を調べておくことが重要となります。
業者から見積もりを受け取る際、具体的にどの作業にいくら発生しているのかを知るために、明細の開示を求めましょう。
また、大規模修繕など多額の出費が発生することがあるため、住民の了承を得たうえで積立金を集金しておくことも重要です。
マンションの管理状況を調べる方法
マンションの管理状況は、下記の方法で調べることができます。
現地調査
現地調査では、紙面ではわからなかった細かな状況を、自分の目で確認することができます。
掃除は行き届いているのか、掲示板は最新情報が更新されているのかなど、確認項目は多岐にわたります。
書面では問題なしと記載されていても、実は大問題が発生していたということがあるため、必ず現地調査を行いましょう。
総会の議事録を確認
マンションの管理組合では、定期的に総会が行われており、そのたびに議事録を作成・保管しています。
適切に管理されていないマンションは総会が行われていないことが多く、課題が改善されないものです。
そのため、いつ・何について話し合って結果どうなったのかなど、総会の議事録を確認しておきましょう。
不動産会社への資料請求、問い合わせ
マンションを購入する際には、ポジティブな情報だけではなく、ネガティブな情報も収集しておく必要があります。
その際、管理人や住民にヒアリングを行うことがありますが、ポジティブな話しか上がってこない可能性が考えられます。
そのような場合、不動産会社に対して資料請求や問い合わせを行うことで、さまざまな情報を得ることができます。
おわりに
本記事では、「マンションは管理を買え」という言葉の意味について解説しました。
マンションは人生のなかでも高額な買い物であることから、管理状況が物件購入の決め手となります。
共用部分が汚れていたり、組合内で内部紛争が発生していたりするマンションは、管理が行き届いていないといえます。
そのため、マンションを購入する際は現地調査や総会議事録の確認、負動産会社への資料請求・問い合わせを行いましょう。
さまざまな角度から情報を収集・確認することで、そのマンションを購入するべきなのかの判断材料となります。
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