新型コロナウイルス感染症の影響で民泊オーナーから悲鳴!今が正念場の民泊ビジネス
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訪日観光客数の増加と2018年の「住宅宿泊事業法」(民泊新法)の施行以来、右肩上がりの成長を続けてきた日本の民泊業界に異変が起きています。2020年年初からの新型コロナウイルス感染症の世界的流行で観光客は激減し、さらに、夏以降の回復も見通しが立たなくなってきています。アフターコロナの状況下で、今後の民泊ビジネスはどうなるのでしょうか。
民泊オーナーから悲鳴、事業廃止も相次ぐ
観光庁によると、民泊の届け出があった全国の住宅数は2020年4月10日時点で2万5,511件。新法施行当初は2,211件でしたので、約11.5倍に増加しました。
しかし、新型コロナウイルス感染症の世界的流行の影響を受け、3月の訪日外国人客数は前年同月比93.0%減の19万4000人にまで激減しました。それと同時に、民泊の利用者数も大幅に減っています。開業しているだけで赤字となるために、休業や事業廃止を決める事業者も増えています。4月10日時点での事業廃止件数は4,126件。1月9日時点(2,843件)と比較して約1.45倍に増加しています。
「新型コロナに負けない!」民泊業者の新サービスも
観光客による民泊需用が減少するなかで、生き残りを賭けた新たなターゲットの掘り起こしを狙う動きも出てきました。
「コロナ離婚」を防げ! 民泊施設を「一時避難所」に利用
ある民泊のスタートアップ企業では、新型コロナウイルスの感染拡大防止による外出自粛やテレワーク開始によって、家庭内の仲がぎくしゃくしてしまった夫婦向けに民泊施設を貸し出す新サービスを始めました。
仲の良い夫婦でも、長時間一緒にいれば日々のストレスも積み重なります。「テレビの音がうるさい」「家事を手伝わない」などの不満がたまり、家庭内暴力に発展したり、夫婦喧嘩の末に「コロナ離婚」につながったりすることもありえます。日本の狭い住環境では、テレワークのために快適な空間を整えることも難しく、家族がいると集中して仕事ができないという悩みを抱える方もいます。
このようなニーズをとらえ、この新サービスでは、観光客減で稼働率が低下した民泊施設を、夫婦が一時的に距離を置くための「一時避難所」やテレワーク、休憩用に提供しています。
賃貸への再転用、シェアハウスの運営なども
民泊での運用を停止して賃貸物件に再転用したり、シェアハウスに業態変更したりという動きもあります。
「コロナ禍」が本格化した3~4月はちょうど異動シーズンで賃貸需要が高まる時期です。先の見えない状況で稼働率の低い民泊を続けるよりは、と賃貸向けに切り替えたオーナーの方も多く出てきています。
また、民泊から撤退した事業者から民泊施設で使用していた家具を回収し、シェアハウスや新規参入者への再販を支援するビジネスへの需要も急増しています。
民泊よりも長期の利用が見込めるシェアハウスに物件を転用する動きもあります。ただ、シェアハウスについても先行きが見通しにくくなっています。欧米人観光客の長期滞在が激減したうえ、コロナ禍で中小企業の倒産や人員整理が始まり、シェアハウスの利用層である若年層の雇用が不安定になっているためです。また、複数が生活空間をシェアするために感染症対策に注意を払わねばならないこともマイナス要因でしょう。
民泊ビジネスは今が正念場
民泊ビジネスは新型コロナウイルス感染症の世界的流行で厳しい状況に置かれています。新型コロナウイルス感染症のワクチン開発にはまだ時間が必要といわれており、終息には数年かかるという見通しもあります。
新型コロナウイルス感染症流行拡大による社会的、経済的混乱を経験した後の世界は、これまでの生活・行動様式には戻れず、「ニューノーマル(新常態)」に適用する必要があるともいわれています。デジタルの力を利用して見知らぬ人同士がつながる「シェアリングエコノミー」ブームに乗って成長した民泊ビジネスも、ニューノーマルのなかで新たな未来を模索する時期となっているのかもしれません。
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