「年金支給開始年齢70歳」にどう備える?現状と対策

「年金支給開始年齢70歳」にどう備える?現状と対策

 日本老年学会は「高齢者」の定義を、現在の65歳以上から75歳以上へと見直す提言を、2017年1月に発表しました。2017年5月には、自民党の「一億総活躍推進本部」が、年金の支給開始年齢を70歳以降に繰り下げる検討を求める提言を発表しています。

 現在は、年金の繰り下げ受給は個人の選択に委ねられていますが、将来的には年金支給開始年齢そのものが70歳以降となることが考えられます。万が一年金支給開始年齢が現在の65歳から70歳以降になったときは、60歳定年退職を前提にすると、年金の空白期間が5年から10年へと倍増するので老後の資金計画に大きな影響を及ぼします。

 そこで、年金支給開始年齢の引き上げ議論の推移と、支給開始年齢の引き上げに備えて、何を準備すべきかについて解説します。

年金支給開始年齢に関する議論

 年金支給開始年齢に関する、ここ数年の議論の流れを確認しておきましょう。
 
 2012年に「社会保障・税一体改革大綱」が閣議決定されました。この大綱のなかで、少子高齢化に対応した社会保障制度改革の必要性が強調され、国債発行に頼った現在の社会保障財政の健全化や、支給開始年齢引き上げの検討などが盛り込まれました。

 2013年の「社会保障制度改革国民会議」では年金支給開始年齢の70歳への引き上げは、中長期的な課題として先送りされました。

 2016年の「働き方改革実行計画」、2017年の「ニッポン一億総活躍プラン」では少子高齢化への対策として、高齢者の就労促進が取り上げられました。
また、2017年6月から継続して実施されている国の「高齢化社会対策の基本的在り方等に関する検討会」の7月18日開催の場で年金財政問題への対策として、年金の支給開始年齢を引き上げてはどうかという意見が出ています。

 こうした議論の流れを見ると、徐々に年金支給開始年齢は引き上げられる方向に動いていることがわかります。

70歳支給開始への備え:金融面と自分自身への投資

 
 年金支給開始年齢に関する議論が引き上げ義務化の方向へ進むのか、自主的な繰り下げ制度の拡充にとどまるのかは現時点では不透明です。しかし、悪いほうになるシナリオに備えておけば安心できます。対策は大きく分けて2つ考えられます。
 
 第1の対策は、年金支給が始まる70歳まで働き続けることです。そのためには、健康な体と社会から必要とされる能力を身に付けることが求められます。健康な体を保つためには、食事・運動・社会との関わりなど日々の生活習慣が重要です。また仕事を続けられる能力を保つためには、新しい技術や知識を意欲的に身に付けて、時代に合わせて自身をスキルアップする必要があります。

 第2の対策は、現役時代に投資や貯蓄で公的年金の不足分を補うことです。そのためには、将来の年金の受給額がいくらになるかを把握する必要があります。
 
 将来の年金受給額について詳しくは、以下をご覧ください。
 これだけしかもらえないの!?30代は年金をいくらもらえるのか試算してみた

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 65歳からの支給でも何らかの対策が必要といえますが、70歳から支給開始になると、さらに対策の必要性は増すでしょう。特に現在の年齢が40代より若い世代では公的年金に依存しない心構えが必要です。
  

長期投資のメリットを生かして年金の空白期間に備えよう!

 
 将来の年金支給開始年齢70歳への引き上げに備えるには、長期的な視点から安定した収入を得ることと、確実・有利に投資や貯蓄を行うことを目指すことが必要です。

 余裕資金があれば、ミドルリスク・ミドルリターンでかつ、長期的な家賃収入が期待できる賃貸マンション投資は、リスクはありますが安定した収入が期待できます。そのほか、株式投資よりリスクが低く、分散投資が行える投資信託や、株式と投資信託の両方のメリットを持つETF(上場投資信託)であれば少額からの投資が可能です。

 貯蓄と投資の合わせ技では、公的年金にプラスして給付を受けられる私的年金である、個人型確定供出年金「iDeCo(イデコ)」がおすすめです。

 60歳まで貯めたお金を引き出せないというデメリットはありますが、確実に貯蓄が可能でかつ、所得控除や運用益の課税がないなどの税制のメリットが活かせます。

 例えば、年収400万円の人が30歳から30年間毎月2万円を積み立てると、税金だけで144万円を節税できます。年間だと24万円の積み立てで4.8万円が節税できるので、年利に換算すると概算ですが20%という高金利に相当します。この節税金額を貯蓄に回せば、税金だけで年利20%の貯蓄をしたことと同じ効果が得られます。

 また、貯蓄では複利運用することで4%の平均金利で運用できれば、毎月2万円を積み立てることで、30年後には約2倍の1,390万円まで増えます(元本720万円、利息約670万円)。
 
 iDeCoについて詳しくは、以下をご覧ください。
 個人型確定拠出年金ナビ(iDeCoナビ)~イデコ加入ガイド~
  

まとめ

   
 年金支給開始年齢が70歳以降になる可能性があるなか、年金不足に備えるためには、若い時から長期投資で着実に資金を積み立てていく必要があります。長期投資で重要なことは「長期間の安定した収入が得られるか」および「複利で運用すること」です。ここでは、複利で運用できて税制面で優遇されている個人型確定供出年金「iDeCo(イデコ)」について紹介しました。選択肢はたくさんありますが、参考にして年金不足に備えてください。     

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