所得税率はどれくらい?計算方法や節税のポイントを徹底解説
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基本的に、会社員は給与に課せられる所得税を企業が天引きして納めてくれます。自分で手続きすることがないため、所得税についてはよく知らない方も多いのではないでしょうか。しかし、投資をする上で所得税の仕組みを知ることは大切です。所得税を理解し、節税対策を練れば税負担を軽減できる可能性があります。
そこでこの記事では、所得税率の全般を詳しく解説します。所得税の求め方や節税のポイント、所得税を抑えられる資産運用方法などについても紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
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1.所得税率の概要
所得税は所得に対して課される税金で、給与所得や不動産所得・雑所得・譲渡所得など10種類に分類されます。対象となるのは1月1日から12月31日までの所得で、これを「暦年」と呼びます。ここでは、所得税率の概要を解説します。
🔵 所得税率は所得によって変わる
所得税率は超過累進課税が採用されています。累進課税とは、課税の対象額によって税率が変わる課税方式のことです。所得が多い方ほど税金が高くなりますが、所得税率が変わる境目にいる方は、わずかな所得差でも納税額に大きな差が生じてしまうことになります。
そのような不公正さを是正する観点から、課税所得が一定額を「超えた部分」についてのみ高い税率を適用する仕組みになっています。これが、単純累進課税とは異なる超過累進課税の特徴です。
🔵 所得税率と控除額
所得税率は課税される所得金額により7つに区分され、区分ごとに設定された金額に税率を掛けて算出します。しかし、区分を超えた課税所得ごとに算出していると計算がややこしくなるため、次の速算表が作られました。
【所得税の速算表】
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
1000円から194万9000円まで | 5% | 0円 |
195万円から329万9000円まで | 10% | 9万7500円 |
330万円から694万9000円まで | 20% | 42万7500円 |
695万円から899万9000円まで | 23% | 63万6000円 |
900万円から1799万9000円まで | 33% | 153万6000円 |
1800万円から3999万9000円まで | 40% | 279万6000円 |
4000万円以上 | 45% | 479万6000円 |
具体的な計算方法は次の項目で解説します。
参考:『所得税の税率|国税庁』
2.所得税率から税額を計算する方法は?
所得税額の計算は、収入が分かれば簡単に算出できるほど単純ではありません。いくつかのステップを踏む必要があります。ここでは、収入から納税額を算出する方法を具体例も用いて説明します。
🔵 所得税の計算式
所得税を求める計算式は「課税所得金額×所得税率-税額控除額」です。実際には、次のようなステップを踏んで税額を求めます。
1.所得を算出する
まず収入から、必要経費を引いて所得金額を算出します。
・所得金額=収入-必要経費
2.課税所得金額を算出する
次に、算出した所得金額から、所得控除を差し引いて課税所得金額を計算します。
・課税所得金額=所得金額-所得控除
3.所得税額を算出する
算出した課税所得金額に区分ごとの税率を掛けて所得税額を計算します。
・所得税額=課税所得金額×税率
4.納税金額を算出する
最後に医療費控除や寄付金控除、住宅借入金等特別控除などの税額控除があれば差し引いて納税額を算出します。
・納税額=所得税額-税額控除
🔵 所得税の計算シミュレーション
給与年収が500万円の会社員のケースでは、いくら所得税がかかるのか計算してみましょう。
1.所得金額を算出する
次の表は、給与等の収入金額に対応する給与所得控除額をまとめたものです。
【給与所得控除】
給与等の収入金額 | 給与所得控除額 |
162万5000円まで | 55万円 |
162万5001円から180万円まで | 収入金額×40%-10万円 |
180万1円から360万円まで | 収入金額×30%+8万円 |
360万1円から660万円まで | 収入金額×20%+44万円 |
660万1円から850万円まで | 収入金額×10%+110万円 |
850万1円以上 | 195万円(上限) |
(参考:『給与所得控除|国税庁』/以下のリンクを挿入してください:
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm)
表に当てはめて計算すると、給与所得金額は次のようになります。
・500万円-(500万円×20%+ 44万円)=356万円
2.課税所得金額を算出する
所得金額356万円から、各種控除を引いて課税所得を計算します。所得控除には基礎控除・配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除・医療費控除・社会保険料除・生命保険料控除などさまざまな控除があります。
ここではその代表として、最も基本的な基礎控除を計算してみましょう。
【基礎控除】
合計所得金額 | 基礎控除額 |
2400万円以下 | 48万円 |
2400万円超2450万円以下 | 32万円 |
2450万円超2500万円以下 | 16万円 |
2500万円超 | 0円 |
(参考:『基礎控除|国税庁』/以下のリンクを挿入してください:
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1199.htm)
表に当てはめて計算すると、課税所得金額は次のようになります。
・356万円-48万円=308万円
3.所得税額を算出する
「所得税の概要」で紹介した速算表に従って、所得税額を算出します。
・308万円×10%-9万7500円=21万500円
4.納税金額を算出する
税額控除があれば差し引きます。例えば、ふるさと納税では寄付した額から2000円を引き、課税所得税率をかけて求めます。以下は、ふるさと納税で3万円を寄付した場合の計算例です。
・(3万円-2000円)×10%(課税所得税率)=2800円
従って、今回のシミュレーションで求められる納税額は下記の通りです。
・21万500円-2800円=20万7700円
3.復興特別所得税もかかる
2037年までは、所得税に加えて復興特別所得税を納めなければなりません。復興特別所得税は、東日本大震災の復興に必要な財源を確保するために徴収されます。
復興所得税の税額は、算出した所得税額に2.1%を掛けた金額(1円未満の端数は切り捨て)です。所得税が20万7700円であれば、4361円を所得税とともに納めます。
4.所得税を節税するポイント
会社員の所得税は会社が納税するため、節税できる部分はないと考えている方もいるかもしれません。しかし、会社員でも控除を活用することで節税が可能です。
ここでは、年末調整だけでなく、確定申告や青色申告を利用して税の負担を軽減できるケースを解説します。
🔵 年末調整を受ける
会社員の所得税は毎月の給与から源泉徴収されますが、あくまで概算でしかありません。年末調整で税額控除の情報を提出することで正しい所得税額が分かり、過不足を精算・確定できる仕組みです。税金を納め過ぎていた場合は、その一部を還付してもらえます。
年末調整で受けられる税額控除には、次のようなものがあります。
・基礎控除
・配偶者控除
・配偶者特別控除
・扶養控除
・障害者控除
・寡婦控除
・ひとり親控除
・勤労学生控除
・生命保険料控除
・地震保険料控除
・社会保険料控除
・小規模企業共済等掛金控除
・住宅ローン控除(2年目以降)
なお住宅ローン控除は、初年度は確定申告が必要ですが、2年目からは年末調整で控除されます。
🔵 確定申告をする
初年度分の住宅ローン控除や医療費控除、寄付金控除は年末調整では処理できないため、確定申告を行うことで払い過ぎた所得税が還付されます。
・住宅ローン控除(初年度)
住宅ローンを組んで住宅を購入した場合、一定条件を満たせば、住宅ローンの年末残高の一定割合が所得税から控除されます。初年度は、「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」などの書類を添付して、確定申告する必要があります。
・医療費控除
多額の医療費がかかった場合は医療費控除を申告しましょう。1年間に支払った医療費のうち200万円を上限として、10万円あるいは総所得金額等の5%を超える部分の医療費を所得から控除できます。
・寄附金控除
国や地方自治体などに寄付をした場合、寄付金控除を受けられます。所得の40%を上限として、寄附金から2,000円を差し引いた金額を所得から控除できます。
🔵 青色申告をする
個人事業主やフリーランスは、一定水準の記帳が必要な青色申告を行うことで節税が可能です。具体的には次のような控除や制度を利用できます。
青色申告特別控除 | 10万または65万円の所得控除を利用できる |
青色事業専従者給与 | 家族従業員などに支払った給与を経費にできる |
貸倒引当金 | 売掛金や貸付金の一部を、損失見込額として経費計上できる |
純損失の繰越しと繰戻し | 事業が赤字になった場合、繰り越しや繰り戻しで節税できる |
少額減価償却資産の特例 | 30万円未満の固定資産を一括で損金算入できる |
🔵 クレジットカードで税金を納付する
税金をクレジットカード払いにしても直接的な節税にはなりませんが、カード払いにすることでポイントが付与されます。税金はさまざまな種類があるため、合計すれば相応のポイントになり、利用するメリットはあるといえます。
ただし、クレジットカードで納税する場合は下表のように決済手数料がかかります。どちらがお得か、しっかり確認する必要はあります。
納付税額 | 決済手数料(税込) |
~1万円 | 83円 |
1万1円~2万円 | 167円 |
2万1円~3万円 | 250円 |
3万1円~4万円 | 334円 |
4万1円~5万円 | 418円 |
5.所得税を抑えるための資産運用方法
資産運用の方法にはさまざまな手段がありますが、中には節税に活用できるものもあります。代表的なのはiDeCo、NISA、不動産投資です。特に不動産投資は減価償却費と呼ばれる会計処理を使うことで、帳簿上の赤字を作れます。それぞれの具体的な特徴を紹介しましょう。
🔵 iDeCo
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、老後のための資産形成を目的とした私的年金制度です。加入者が自分で運用商品を選び、毎月一定額を拠出する(掛け金を払う)ことで運用します。
掛け金は全額が所得控除の対象になる他、運用益は全て非課税になるのが大きなポイントです。さらに、給付金を受け取る際にも「公的年金等控除」あるいは「退職所得控除」などの税制優遇を受けられます。
🔵 NISA
NISAは個人投資家のための税制優遇制度で、運用益は非課税とされています。株式投資や通常の投資信託が運用益に対して20.315%の税金が課されることを考えると、節税しながら資産形成もできる有利な投資法といえるでしょう。
なおNISA口座で購入できる金額や非課税期間には上限が設けられています。例えば一般NISAの投資枠は毎年120万円、非課税期間は最長5年です。無限に節税できるわけではないため、理解した上で利用しましょう。
🔵 不動産投資
不動産投資で所得税や住民税を節税できる仕組みは、減価償却費という会計処理にあります。減価償却費とは、建物や設備などの固定資産の購入費用を耐用年数(通常の使用に耐えられる年数)で割って配分し、その年度分の金額のみを経費計上できる会計処理のことです。
つまり、建物や設備などの購入初年度以降は、実際の支出を伴わず会計上の赤字を作れます。それらを給与所得と相殺(損益通算)することで、所得を抑えられる仕組みです。
6.不動産投資を始めるならGALA NAVIで情報収集を!
所得税を抑えるにはさまざまな方法がありますが、資産運用をしながら節税するのであれば不動産投資のメリットが際立ちます。しかし、節税だけを目的にすると肝心の不動産経営で失敗するかもしれません。しっかり利益を出せるよう、不動産投資に関する知識を身に付けましょう。
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7.まとめ
納税する上で、所得税率の概要や計算方法を知っておくことは大切です。会社員の方でも、確定申告をすれば所得税の負担を減らせるかもしれません。また、iDeCoやNISA、不動産投資など、節税に生かせる投資手段を知るきっかけにもなるでしょう。
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