家賃収入に課される税金は?種類や確定申告のポイントを解説!
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「家賃収入にかかる税金について知りたい」「不動産投資で収益を得た場合、税金がどのくらいなのか知りたい」といった疑問を持つ方へ向けて、今回は家賃収入に課される税金について解説します。
納める税金は所得税や住民税とさまざまで、計算方法や納税時期が異なります。本記事では税金の種類を詳しく解説し、確定申告の方法や必要書類も紹介するため、参考にしてみてください。
1.家賃収入に課される税金を求めるには?
マンションやアパートのような不動産を貸すことで得られる家賃収入にも、会社員の給料と同様に税金が発生します。ただし、家賃収入全てが課税対象ではなく、必要経費を差し引いた「不動産所得」に課される仕組みです。
必要経費とは、固定資産税や損害保険料、減価償却費、修繕費、借入金の利息といった家賃収入を得るために必要な経費で、生活で使う費用とは区別しなければなりません。不動産所得は給与所得と同様に、毎年1月1日から12月31日の収入に応じて決定します。
2.家賃収入に課される税金の種類
家賃収入に課される税金には、いくつか種類があります。計算方法や納税時期、納税方法が異なるため、全て把握しておくことが大切です。ここでは、家賃収入に課される税金の種類とそれぞれの概要について詳しく解説します。
🔵 所得税
所得税は累進課税制度が採用されているため、所得が多いほど税率が高くなるのが特徴です。給与所得がある場合、両者を合算し所得控除を差し引いた金額に税率を掛けることで税額が決定します。所得税の速算表は以下の通りです。
課税所得 | 税率 | 控除額 |
1000円~194万9000円まで | 5% | 0円 |
195万円~329万9000円まで | 10% | 9万7500円 |
330万円~694万9000円まで | 20% | 42万7500円 |
695万円~899万9000円まで | 23% | 63万6000円 |
900万円~1799万9000円まで | 33% | 153万6000円 |
1800万円~3999万9000円まで | 40% | 279万6000円 |
4000万円以上 | 45% | 479万6000円 |
例えば、不動産所得が800万円の場合、所得税額は以下の計算方法で求めます。
所得税額=800万円×23%-63万6000円=120万4000円
参考:『所得税の税率|国税庁』
🔵 住民税
住民税は各自治体に納める地方税で、所得割と均等割の2区分があります。所得割は前年の所得金額に応じて決まるため、不動産所得が多いほど高くなると考えてよいでしょう。税額は、合計所得から所得控除を差し引いた金額に税率を掛けて、税額控除を引いて求めます。東京都の場合、税率は都民税4%、区市町村民税6%で、合計10%です。
均等割は定額で、自治体によって異なります。東京都は都民税額1500円、区市町村民税額3500円の合計5000円です。なお、令和5年度まで地方自治体の防災対策に充てることを目的として、均等割額は都民税・区市町村民税それぞれ500円が加算されています。
🔵 消費税
一般的に、居住用物件で得られる家賃や共益費、管理費といった収入には消費税はかかりません。一方、貸店舗や貸事務所のような事業用物件の場合は消費税が発生します。ただし、課税売上額が1000万円以下は対象外です。駐車場代は以下の要件を満たせば、課税されません。
・1戸当たり1台分以上の駐車スペースが確保されている
・自動車保有の有無にかかわらず全戸に駐車場が割り当てられている
・家賃に駐車場代が含まれている
なお、居住用物件の家賃収入として認められるには、1か月以上の賃貸期間があることや契約書に明示されていることが必須です。
参考:『集合住宅の家賃、共益費、管理料等の課税・非課税の判定|国税庁』
3.固定資産税は家賃収入にかかわらず発生する
不動産を所有していると、家賃収入の有無にかかわらず、固定資産税が課されます。課税対象は、毎年1月1日時点で固定資産課税台帳に登録されている土地や建物です。固定資産が所在する市区町村(東京23区内は都)に年に4回分割して納めます。
税額は、固定資産の評価額に標準税率を掛けて求めます。標準税率は1.4%ですが、1.5%~1.6%の自治体もあるため、自身の固定資産がある自治体の税率を確認するとよいでしょう。納付額が確定した時点で「租税公課」という項目で経費として計上可能です。
4.家賃収入に含まれる項目
家賃収入と見なされる項目には、家賃だけでなく賃貸に関わるさまざまな料金も含まれます。具体的に何が含まれるのか分かれば、税金を計算する際に悩まずに済むでしょう。ここでは、家賃収入に含まれる項目について解説します。
🔵 礼金
礼金は、入居者がオーナーに対してお礼の意味を込めて支払うお金です。したがって、退去時に返金が必要な費用ではありません。家賃1か月分を目安として設定されるケースが多く、最近は礼金なしの物件も増えています。
🔵 入居者に返金しない敷金・保証金
退去時の原状回復費用として受け取った敷金のうち、入居者に返金しない費用は家賃収入に含まれます。一方、クリーニングが済んだあとに発生した余剰金を返金するケースは、家賃収入の対象になりません。また、保証金も同様に、返金しない場合のみ家賃収入の対象です。
🔵 更新料
一般的に2年に1度支払われる更新料も家賃収入に含まれます。更新料の有無や金額は、賃貸契約で決めるケースがほとんどです。手続きに関する手間賃という意味合いで請求しますが、実際にはオーナーの一時的な収入であるケースが多く、家賃収入の一部と見なされます。
2年更新の場合、更新料は約1か月分が相場です。ただし、更新料がない地域や物件もあります。
🔵 管理費・共益費
共用部分の維持管理費用として家賃と一緒に支払われる管理費や共益費も、家賃収入の一部です。共用部分の電気料や水道料、共用廊下やエントランスの電球購入費や交換費用、エレベーターの保守点検、物件の清掃費用に充てられます。
🔵 駐車場代
駐車場代も家賃収入と見なされます。オーナーの責任で自動車を管理する駐車場の場合、駐車場代は事業所得や雑所得に分類されますが、入居者にスペースを提供するだけであれば不動産所得です。アパートやマンションの駐車場は後者に該当するケースがほとんどで、不動産所得として家賃収入に含まれます。
5.家賃収入で確定申告が必要な条件やポイント
家賃収入に対して税金が発生する場合、確定申告が必要です。確定申告では、前年の所得額や納税額を申告して納税します。申告・納付期間は、2月16日から3月15日です。ただし、家賃収入を得ている全ての方に確定申告の義務があるわけではありません。ここでは、家賃収入で確定申告が必要な条件や申告の手順を紹介します。
🔵 確定申告が必要な条件
家賃収入で確定申告が必要なのは、年間の不動産所得が20万円を超える場合です。ただし、不動産所得は給与所得と損益通算できるため、20万円以下でも確定申告をしたほうが節税につながる場合があります。
損益通算とは、不動産投資における赤字を給与所得と相殺し、課税所得額を減らす仕組みをいいます。不動産投資で赤字になるのは、建物の購入費用を耐久年数に応じて分割した減価償却費を経費計上するためです。減価償却費は実際の支出を伴わないため、大きな節税効果が期待できます。
🔵 確定申告は青色申告が有利
確定申告では、白色申告と青色申告のいずれかを選択できます。両者の違いのひとつは控除額で、青色申告は最大65万円まで控除を受けられる一方、白色申告は最大10万円です。
また、青色申告は赤字損失金の繰り越し控除を3年間受けられる点もメリットです。開業届と青色申告承認申請書の提出や複式帳簿での記載が必要ですが、大きな節税効果が期待できます。
🔵 確定申告に必要な書類
確定申告に必要な書類は以下の通りです。直前に慌てることがないよう、あらかじめ把握しておくと安心です。
・確定申告書
・確定申告決算書
・売買契約書
・賃貸借契約書
・総金明細
・受け渡し清算書
・金融機関からの借り入れ返済表
・固定資産税通知書
・損害保険証書
・管理費や修繕積立金の領収書
また、会社員の方で源泉徴収された収入がある場合、源泉徴収票も準備しましょう。
🔵 確定申告の手順
確定申告は期間が決まっているため、手続きの流れを頭に入れて、早めに準備するとスムーズに申告できます。確定申告の手順は以下の通りです。
・必要書類の準備
・確定申告書や決算書の作成
・申告書の提出
・納税
確定申告書は、会計ソフトや国税庁ホームページにある確定申告書作成コーナーで作成できます。申告書の提出は税務署への持参や郵送でも可能ですが、青色申告はe-Taxを利用したほうがよいでしょう。持参や郵送で受けられる控除が最大55万円のところ、e-Taxで申告すれば最大65万円になるためです。
税額が確定したら、納税もしくは還付金の受け取り手続きをします。申告・納税期限は、毎年3月15日です。
6.家賃収入の申告漏れによるリスクは?
家賃収入を得た場合、所得に応じて税金を納める義務があります。申告・納税が必要であるにもかかわらず申告が漏れていた場合、延滞税や加算税といったペナルティを課されるため注意が必要です。ここでは、申告漏れによるペナルティやリスクのうち、主な4つを紹介します。
🔵 延滞税がかかる
税金の納付が定められた期限に遅れると、法定納期限の翌日から完納する日までの延滞税を納付しなければなりません。原則、所得税の法定納期限は3月15日、消費税は3月31日です。令和3年1月1日以後の延滞税の割合は以下の通りです。
・納期限までの期間と納期限の翌日から2か月を経過するまでの期間は、年「7.3%」と「延滞税特例基準割合+1%」のいずれか低いほう
・納期限翌日から2か月を経過する日の翌日以後は、年「14.6%」と「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低いほう
🔵 無申告加算税が課せられる
申告義務があるにもかかわらず確定申告をしなかった場合、無申告加算税を課されます。税務署の調査を受けた場合の税額は、未納額50万円以下の部分に15%、50万円を超える部分に20%を乗じた金額です。
ただし、税務署の調査を受ける前に自主的に申告した場合、税率が5%に軽減されます。さらに、法定納期限までに税金の納付が済んでいるといった一定の要件を満たせば、法定申告期限から1か月以内の申告は無申告加算税が課されません。
🔵 重加算税が課せられる場合がある
申告漏れが悪質であると判断された場合、重加算税が課される恐れがあります。具体的には、「二重帳簿を作成した」「帳簿書類の破棄や隠ぺい」「改ざんした」といった事例が該当します。
重加算税は、過少申告加算税や不納付加算税に代えて35%、無申告加算税に代えて40%の税率が課されます。重加算税を繰り返し課された場合、最高税率は50%と非常に高額になるため、確定申告は慎重に手続きしましょう。
参考:『加算税の概要|財務省』
🔵 金融機関からの信用を失う
申告漏れや税金の滞納により金融機関の信用を失う恐れがあります。クレジットカードやカードローンの審査に使われる個人信用情報には、税金の滞納に関する情報は掲載されません。ただし、不動産投資ローンに申し込む際は、納税証明書の提出を求められる場合があります。未納があれば記載されるため、融資を受けるのは難しいでしょう。
不動産投資のレバレッジ効果を高めるには、不動産投資ローンの利用は不可欠です。申告や納付が済んでいない税金があれば、延滞税とともに早めに納めましょう。
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8.まとめ
家賃収入による不動産所得が年間20万円を超えた場合、翌年の2月16日から3月15日に確定申告と納税をする必要があります。また、20万円以下でも確定申告をすることで、節税効果が期待できるでしょう。一方、申告漏れがあると、延滞税や無申告加算税といったペナルティや銀行からの信頼を失うリスクがあるため注意が必要です。
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