株式投資にはどんな税金がかかる? 税金について知ってから株式投資を始めよう
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株式投資はお金に働いてもらえる一方で、その利益には税金が課されます。主に売却益にかかる「譲渡課税」と配当にかかる「配当課税」の2つで、それぞれ確定申告が必要な場合と不要な場合があります。確定申告と聞くと、ハードルが高いと感じるかもしれませんが、賢く株式投資をしていくには、確定申告の方法や課税の仕組みについても知る必要があります。株式投資にかかわる税金について紹介します。
1.株式に関わる税金は「譲渡課税」と「配当課税」の2種類
➣譲渡課税
売買の結果で得た利益(譲渡益)に対する税金です。取得価格と売却価格の差額に対して課税されますが、手数料等は差し引いて計算されます。
譲渡課税は、給与所得や事業所得などといった他の所得とは別に課税される「分離課税」です。そのため、会社員が会社で行う年末調整に含めて計算はできません。その意味では、株式譲渡にかかる税金の確定申告は原則として「必要」だといえます。ただし、申告をご自身で行わなくてもいいケースもあります。
➣配当課税
配当金に課される税金です。配当金は、源泉徴収によってあらかじめ税金が引かれた金額が手元に入ってきます。その時点で課税は終了していますから、原則として確定申告は不要です。しかし、確定申告したほうがお得になるケースもあります。
2021年4月現在、どちらも税率は20.315%(地方税5%含む)です。なお、ここでは株式投資における配当金についてみていきますが、本来の配当金には投資信託の分配金も含まれます。
2.株式売買で利益が出ると確定申告が必要なの?
株式投資にかかる税金の基本は既述のとおりですが、課税関係は1つではありません。譲渡所得の場合、選択する口座によって確定申告の「要・不要」が分かれます。口座は3種類 あり、それぞれ以下のような特徴があります。
1.特定口座(源泉徴収あり):原則、確定申告は不要
取引の都度、証券会社で損益を計算して源泉徴収を行うのが、源泉徴収ありの特定口座です。税金の納付も証券会社が代行してくれますので、投資家が確定申告する必要はありません。また、譲渡損失が生じた場合は、納付済みの源泉徴収税の範囲内において還付 を受けることもできます。
「源泉徴収あり」の特定口座を選択していても、希望する場合は確定申告することが可能です。確定申告をするといっても、証券会社から1年間(1月1日から12月31日まで)の譲渡損失と譲渡益を計算した「特定口座年間取引報告書」が送られてくるので、確定申告の負担は少ないでしょう。
2.特定口座(源泉徴収なし):確定申告が必要
源泉徴収はされないため、確定申告が必要です。ただ、証券会社から「特定口座年間取引報告書」が送られてくるので、税計算の手間を省くことができます。
なお、特定口座では証券会社が株式投資の損益を計算しますが、計算を行うのは自社の口座だけです。他の証券会社の損益は計算しないため、複数の証券会社で取引をしている場合は、「源泉徴収なし」の特定口座で各証券会社の年間取引報告書を入手し、確定申告を行うことが多くなります。
3.一般口座:確定申告が必要
投資家自身が株式投資の損益を計算して、確定申告を行います。
3.配当所得は、原則的に確定申告が不要
前述したように、配当所得は口座の種類に関係なく源泉徴収されますので、原則として確定申告する必要はありません。確定申告をしないで源泉徴収ですませるこの仕組みのことを「確定申告不要制度」 と呼びます。
ただ、場合によっては確定申告をしたほうがお得になるケースもあります。その代表が「損益通算」をする場合と「配当控除」を受ける場合です。
1.損益通算をする場合
「損益通算」とは、確定申告により株式の譲渡損失と配当所得を通算できる制度のことです。最大のメリットは、通算することで、配当所得への源泉徴収税を取り戻せる可能性があることです。ただし、次項で説明する配当控除との併用はできません。
ところで、譲渡損失が大きい場合は、損益通算してもなお控除しきれないかもしれません。控除しきれない譲渡損失は翌年以後3年間にわたって控除が可能ですので、譲渡損失が大きい年は確定申告をするほうが節税になることがあります。
また、「特定口座(源泉徴収あり)」の場合、源泉徴収後の配当所得も特定口座で受け取り、損益通算されます。そのため、通常ならば確定申告は不要ですが、複数の証券会社の口座を持っており、いずれかの口座で譲渡損失が生じている場合は、確定申告で損益通算をしたほうがお得になるケースもあります。
2.配当控除を受ける場合
「配当控除」とは、総合課税を選択して確定申告をすることで、所定の金額が所得税と住民税から控除される制度のことです。「所得控除」ではなく、税額から所定の額を控除できる「税額控除」であることが特徴ですが、控除額の計算方法がやや難しいかもしれません。また、上述したように、配当控除を受ける場合、損益通算はできないというデメリットもあります。
配当控除の控除額の計算方法と税率はいくつかのパターンがあります。例えば、配当所得を含めた総所得金額が1,000万円以下 の場合、配当所得に課される税率はそれぞれ次のようになります。
総合課税を選択し、配当控除を受ける場合の配当所得にかかる税率 所得税10%、住民税2.8%
分離課税を選択し、配当控除を受けない場合の配当所得にかかる税率 所得税15.315%、住民税5%
両者を比較すると配当控除を選択したほうが、税率が低くなることが分かります。配当所得を含めた総所得金額が1,000万円を超える場合、超過部分の税率はさらに低くなります。
ただし、総合課税は給与所得等の他の所得を含めた所得額で税率が決定します。所得税率は累進課税となっており、課税総所得が高くなると税率が高くなることから、配当控除を選択することで所得税全体にかかる税率が高くなることがあります。総合課税は、有利不利の見極めが難しい申告方法なので、注意が必要です。
4.株式にかかる税金と確定申告について知り、安心して株式投資を始めよう
株式投資で利益が出たら、原則として納税の義務が生じます。株式投資の課税の仕組みは簡単ではないので難しいと感じる方もいるかもしれませんが、税率や課税の流れなど基本的な知識を押さえておけば、おそれることはありません。また、株式投資でネックになりがちな確定申告も、必ずしも必要となるわけではありません。多くの場合、納税や納税に関わる計算を証券会社等に行ってもらうことが可能ですので、気軽に始めてみてはいかがでしょうか。
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